令和4年9月議会 代表質問

1、あいち地球温暖化防止戦略2030の改定について

令和4年9月議会 代表質問あいち地球温暖化防止戦略2030の改定についてお伺い致します。

世界の平均気温は、産業革命以降これまでに約1.1℃上昇しています。この夏、欧州や米国などは、「熱波」に襲われ、6月の世界の平均気温は観測史上3番目に高かったとのことです。国内に目を向ければ、この夏は、全国的に記録的な高温となりました。近年、地球温暖化が進んで猛暑が増えていると言われ、各地でこうした異常気象が社会に影響を与えています。

地球温暖化問題は、避けて通ることのできない喫緊の課題となっており、「気候危機」とも言われています。長年にわたって警鐘が鳴らされてきたにもかかわらず、歯止めがかかっておりません。今に生きる我々の世代が、解決に向けた具体的かつ決定的な行動を起こし、その成果を出すことが強く求められている時代となっています。

2015年の気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において、2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための国際枠組みである「パリ協定」が採択されました。この協定では、産業革命前からの世界の平均気温上昇を2℃より下回る水準に抑え、1.5℃に抑える努力を追求することなどが合意されました。世界が地球温暖化対策に取り組む歴史的な転換点となり、脱炭素社会に向けて走り出しました。気温の上昇を1.5℃以内に抑えるためには、2030年までに2010年の水準から45%削減し、2050年にカーボンニュートラルにする必要があるとしています。これを受けてカーボンニュートラルを宣言する国が相次ぐようになりました。我が国においても、2020年10月、当時の菅首相が所信表明演説で「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言し、2021年6月、地球温暖化対策推進法を改正、脱炭素社会の実現を基本理念に位置付けるとともに、2021年10月、「地球温暖化対策計画」の改定では、「2050年カーボンニュートラルと整合的で野心的な目標として、2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指し、さらに、50%の高みに向けて挑戦を続けていく。」という目標を掲げました。

これまで本県は、2018年2月に当時の国の削減目標と整合する形で、「2030年度に温室効果ガス総排出量を2013年度比で26%削減する」ことを目標に掲げた「あいち地球温暖化防止戦略2030」を策定し、その達成に向けた取組を進めてきたところです。こうした取組によって、住宅用太陽光発電の設置件数が全国1位、EV・PHV・FCVといったゼロエミッション車の普及台数が全国1位となるなど、一定の成果をあげてきましたが、産業県であるがゆえに、温室効果ガス排出量は全国最多レベルとなっています。本県は、戦略の取組を加速するため、「あいちカーボンニュートラル戦略会議」の設置、中部圏大規模水素サプライチェーン社会実装推進会議の設立、 使途を環境改善効果のある事業に限定した県債であるグリーンボンドの発行など、新たな取組に次々と着手しています。

一方、「あいち地球温暖化防止戦略2030」については、国のカーボンニュートラル宣言及び削減目標の引き上げを踏まえ、2022年2月、改定に着手したところであり、先の6月議会において、我が党の岡県議が行った質問に対しても、「戦略の改定作業を進めている。」との答弁がありました。

そこで、お伺いします。
「あいち地球温暖化防止戦略2030」の改定作業について、現状の進捗状況はどのようになっているのかお伺いします。

2、橋梁とトンネルの点検における新技術の活用の取り組みについて

令和4年9月議会 代表質問次に、県が管理する道路施設の内、橋梁とトンネルの点検における新技術の活用の取り組みについてお伺いいたします。

道路は、平時において、社会経済活動を支えるとともに、災害時においては、発災時の救急救命及び被災後の復旧・復興活動に資する重要な社会インフラであります。とりわけ、橋やトンネルなどの大型構造物は、老朽化により、損傷や変状が発生した場合、構造物に致命的な被害が生じる可能性があり、県民の生命・財産を危うくするのみならず、社会経済活動にも大きな影響を及ぼします。

日本のインフラの老朽化を考える上で、参考になるのがアメリカです。1930年代、世界恐慌に対する景気対策として、ルーズベルト大統領は、ニューディール政策を実施し、その一環として積極的な公共事業を行い、インフラの近代化が急速に進みます。

しかし、十分な維持管理・更新がなされなかったことにより、1980年代になると、道路や橋の老朽化による事故が続発し、「荒廃するアメリカ」といわれ社会問題となりました。その後、アメリカは、ガソリン税を倍増するなど、財源の拡充を図り、インフラ全体に対する投資を確保し、既存インフラの適切なメンテナンスと戦略的なインフラ整備を両立させました。

一方、日本では、アメリカに後れること30年、1960年代の高度経済成長期に道路整備が急ピッチに進められました。2010年代に多くの橋梁が高齢化を迎えることになります。日本を「荒廃するニッポン」とさせないよう、維持管理を適切に実行していくことが現在の重要な課題であります。

2012年12月に発生した中央自動車道「笹子トンネル」の天井版落下事故では、9名の尊い命が失われました。また、2020年には、山口県上関大橋においてPC鋼材の破断により、通行車両が破損し、原因究明や復旧などに長期間の通行止めが必要となりました。さらに、2021年には、和歌山市「六十谷水管橋」が一部崩落し、市北部約6万世帯で断水が生じた事故が発生しました。

これらの事故はいずれも、構造的に重要な箇所の近接目視点検が十分でなかったと指摘されており、メンテナンスサイクルにおける「点検」の重要性が改めて認識されたところであります。「笹子トンネル」の事故を受け、国は2013年に道路法を改正し、橋梁、トンネル、横断歩道橋などの大型の道路構造物に対し、5年サイクルの近接目視による定期点検を義務付けました。全国の橋梁の内、建設後、50年を経過した橋梁の割合は、2021年度末34%であるのに対し、10年後には約59%になると報告されております。特に、古くからものづくり産業等の分野を中心とした経済活動や県民生活を支える道路整備に取り組んできた本県においては、建設後50年経過した橋梁の割合は、2021年度末48%であり、全国平均以上に高齢化が進展しております。

これら急速に高齢化する橋梁を将来にわたり適切に維持管理していくには、メンテナンスサイクルを確実に回す仕組みを構築することが必要であります。そして、メンテナンスサイクルを回す上で、構造物の現在の健全性を確認するための「点検」の重要性は、ますます高まっているものと考えます。2014年度から、全ての道路管理者は、全国統一の基準による点検に着手し、2018年度に1巡目点検を終え、現在、2巡目点検の4年目を迎えているところであります。

1巡目点検においては、今まで一度も点検を実施していなかった施設もあったことから、規模の大小にかかわらず、まずは近接目視を行い、状態の把握を確認することが必要でありましたが、費用や労力が必要になるなどの課題が見つかりました。

このため、2019年に、国は、1巡目の点検・診断に関する知見を踏まえ、ボックスカルバートなど構造が単純、または小規模な橋梁については、点検項目の絞り込みや、近接目視の代替えとして、ドローンやロボットカメラなどによる新技術を規定するなど、効率的な点検・診断ができるよう点検基準・要領等を見直しました。

さらに、国は、新技術の導入を促すため、参考資料となる「点検支援技術性能カタログ」を2019年2月に策定しました。このカタログは、以降、技術の拡充が行われ、初版の16技術から、本年9月には169技術まで拡充されたところであります。このように道路施設の点検において新技術を活用する環境は整いつつあります。

しかしながら、先月、国土交通省から公表された最新の「道路メンテナンス年報」において、点検における新技術の活用検討・活用状況の結果が示されており、「橋梁点検の実施にあたり、新技術の活用を検討したものの、活用に至らなかった地方公共団体は、全国で837団体、全体の75%に上る」ことが報告されています。

しかし、大規模な構造物や交通量の多い路線など制約の多い施設の点検については、近接目視の代替となる新技術を用いることにより、コストの削減や規制日数の短縮などの効果が期待できると考えます。

さらに、今後3巡目、4巡目と点検を繰り返す中で、点検データを単に蓄積するだけでなく、データを有効活用する取り組みも必要と考えます。例えば、前回点検からの進行を把握し、分析・評価することで、修繕が必要な施設をAIにより、あらかじめ抽出するなど、予防保全型のメンテナンスを構築する上でも重要と考えます。

一方で、点検する人材の不足についても、深刻な状況であります。建設産業全体の就業者数は、ピークだった1997年の約685万人から約20年後の2016年には495万人まで減少しております。その年齢構成も、60歳以上が26%占めており、全産業に比べ、高齢化の度合いが高いと言われています。このような状況を踏まえ、今後、ますます高齢化が進展する道路施設について、限られた予算、人員の中で適切に維持・管理するためには、新技術を活用し点検作業の効率化、省力化を図ることで、コスト削減に取り組む必要があると考えます。

そこでお尋ねいたします。県が管理する道路施設の内、橋梁とトンネルの点検における新技術活用の取り組みについてお伺いいたします。

全国にある橋梁、約73万橋の内、市町村道の橋梁は、7割を占める約52万橋と、市町村が管理する橋梁についても、点検の質やさらなる効率化が求められているところであります。

しかしながら、国土交通省が地方自治体を対象としたアンケート調査結果によると、今後の点検見通しについて、実施困難とする自治体が3割弱存在することが明らかになっております。見通しが立たない理由として、予算・職員の不足により点検結果の診断が難しいことが挙げられております。

加えて、「道路メンテナンス年報」によれば、2022年度の橋梁管理に携わる土木技術者が1人もいない自治体の割合は、町では22%、村では56%にもなることが報告されています。このように、土木技術者がいないような自治体に対しては、道路施設の検査を確実に実施し、特に点検の品質や診断の精度を確保するための業務支援が必要であると考えます。

そこでお尋ねいたします。県として、技術者不足の市町村に対する橋梁の点検業務の支援についてお伺いいたします。

3、小中学校における不登校児童生徒への支援について

令和4年9月議会 代表質問次に、小中学校における不登校児童生徒への支援についてお伺いいたします。

昨年10月に、文部科学省が公表した「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」において、小中学校における不登校児童生徒は、19万6,127人となっており、2019年度の18万1,272人から増加し、過去最高となりました。

ここで示されている不登校とは、1年間に連続または断続して30日以上欠席した場合のことを指しております。本県の現状を見ると、2020年度の不登校児童生徒数は、国公私立の小中学校あわせて、13,263人であり、前年度比、1,112人増と全国同様、最も多い状況となっています。10年前の数値は8,019人であり、10年間で約1.7倍増です。

将来を担う多くの子供たちが不登校となり、学校へ行くことができないといったことに、私自身、驚かされたところであり、生徒指導上の大きな課題に対し、早急な対策が必要と考えます。今年5月、文部科学省の不登校に関する調査研究協力者会議の報告書の中で、不登校児童生徒が増加する背景として、コロナ禍による生活環境の変化、生活リズムが乱れやすい状況であることや、学校生活において、様々な制限のある中での交友関係が築けないなど、登校する意欲が湧きにくい状況等が示されております。

また、学校内外のいずれかの機関でも、相談・指導を受けていない児童生徒が34.3%あったとされており、こうした児童生徒を早期に把握し、適切な支援につなげていくことの必要性が求められております。さらには、「令和2年度不登校児童生徒の実態調査」の結果において、不登校児童生徒本人や保護者へのアンケート調査のうち、学校を休んでいる間の「最初のきっかけとは別の学校に行きづらくなる理由」として、「勉強が分からない」が最も多く、小学校で31%、中学校で42%と、複数回答ではあるものの、理由の上位を占めており、欠席中の学習支援の重要性が再認識される結果となっております。

これらの各調査結果からは、現在、不登校の要因や背景、不登校である期間やその受け止め方は、個々の状況によって多様であり、支援に対するニーズも多岐に渡っていることがみえてくるのではないでしょうか。こうした結果を踏まえ、不登校に関する調査研究協力者会議では、「誰一人取り残さない学校づくり」、「不登校傾向のある児童生徒に関する支援ニーズの早期把握」、「不登校児童生徒の多様な教育機会の確保」、「不登校児童生徒の社会的自立を目指した中長期的支援」の四つを掲げ、今後、重点的に実施すべき施策として、個々の不登校児童生徒の状況を適切に把握し、多様な支援の方向性が示されております。

県は、これまで児童生徒への不登校対策として、専門的な知識を有する、スクールカウンセラーの設置やスクールソーシャルワーカーの配置に必要となる経費の支援の拡充を図ってこられました。また、いじめ等の悩みに対する24時間いつでも電話による相談が可能となる「子どもSOSほっとライン24」を設置し、相談体制の充実にも取り組まれており、効果も上がっていると伺っております。

しかしながら、こうした取組は、どちらかというと不登校になる前の段階の未然防止策の効果があるものの、一方で、一旦、学校へ来られなくなり、不登校となった児童生徒への支援策としては、
まだまだ、不十分であると考えざるを得ないのではないでしょうか。2016年12月に、「義務教育段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」が施行され、不登校児童生徒に対しては、学校復帰のみをめざすのではなく、社会的な自立をめざすと示されており、今後は、様々な場面において、教育機会の保障に取り組んで行く必要があります。

現在、市町村においては、不登校児童生徒の学校生活への復帰を支援することを目的に、児童・生徒が在籍する学校と連携を取り、個別カウセリングや教科書を用いた指導、集団での指導などを計画的かつ組織的に行う、これまで「適応指導教室」と呼ばれていた教育支援センターがあります。

公民館など学校以外の場所に設置され、居場所としても活用がされております。私の地元である春日井市の中学校では、2020年度から試行的に学校内に「登校支援室」という校内教育支援センターを設置し、今年度からは、15の中学校で設置が完了しております。何らかの理由で教室に入れない生徒たちの居場所を学校内に確保する取組が進められ、子どもたちが安心して学校生活を送ることが出来るよう不登校及び不登校傾向の子どもたちへの支援を行っております。

登校支援室には、市が雇用した非常勤職員が常に配置され、また、複数校を巡回する指導員5人が、学校に対し、登校支援室の運営にかかるアドバイスを行っており、子どもたちの中には、登校状況に改善が見られる場合もあり、子どもたちにとって、安心して過ごせる居場所や学びの場所であるとともに、保護者にとって心のよりどころとなっています。こうした取組は、県内のいくつかの市町村でも実施されはじめており、それぞれの市町村において、工夫した取組が行われています。

今後、他の市町村においても校内に教育支援センターを設置することが増えていくのではないでしょうか。県においても、市町村の先進的な取組事例をしっかりと啓発していただきたいと思います。

子供たちの学びの選択肢の一つとしての機能を強化された県教育支援センターは、これまで、市町村が実施している支援方法に加え、自宅からパソコンによるオンライン支援も行われており、なかでも、NPO法人と連携し、インターネット上の仮想空間「メタバース」技術を用いた教育支援も進められているとのことです。

今後、本県においても、不登校となってしまった児童生徒への多様な教育機会を確保するため、個々の不登校児童生徒の状況を適切に把握し、多様な支援の実現に向けた取組が重要であると考えます。

そこでお伺いいたします。今後、小中学校の不登校児童生徒への支援にどのように取り組んでいかれるのか、考えをお伺いいたします。

4、県立高校の空調の公費化に伴う保護者負担の軽減について

続きまして、県立高校の空調の公費化に伴う保護者負担の軽減について、質問いたします。

公明党では、かねてより、県立学校における公費による空調設備の設置について、機会あるごとに要望してまいりました。私も、初当選した2011年の9月議会の一般質問おいて、「特別支援学校のエアコン設置について」質問いたしましたのを皮切りに、高等学校を含めた県立学校における公費による空調設備の設置については、高い関心をもって注視しつつ、働きかけを続けてまいりました。

当時の学校施設の整備については、東日本大震災が起きたあとでもあり、校舎等の耐震化を最優先に取り組んでいた時期であります。その後、校舎等の耐震化がほぼ完了した2017年度から、空調設備が未設置となっていた特別支援学校の普通教室や特別教室への設置に着手し、2020年度にはすべての教室への設置が完了したことは、高く評価するところであります。

一方、県立高校では、以前から多くの学校においてPTAがリース契約した空調設備が設置され、その費用を保護者が負担している状況でありましたが、昨年度から、知事の英断により、普通教室の空調設備について公費化が実施されました。

わが党が長年訴え続けてきた要望が実現できたことは、大変に嬉しく思った次第であります。

この公費化により、すべての県立学校において、保護者負担が大幅に軽減されるものと思っておりましたが、中々そうはなっておらず、一部の県立高校では、公費化されたにもかかわらず、全く公費化前とかわらない状況であることをお聞きしました。

保護者負担を軽減できていない学校については、様々事情があるとはいえ、学校まかせにせず、教育委員会がしっかりとフォローアップし、少しでも保護者負担軽減につなげていくべきであると考えます。

そこでお伺いいたします。
県立学校における普通教室の空調の公費化に伴い、公費化以前と比較して保護者負担額はどのくらい軽減されたのか。また、負担軽減がなされていない学校があることから、今後、どのように取り組んでいかれるのか、教育長にお伺いいたします。

令和4年9月定例県議会一般質問に対する答弁要旨

令和4年9月定例県議会一般質問に対する答弁要旨を掲載致します。

1、あいち地球温暖化防止戦略2030の改定について

(環境局長答弁要旨)
あいち地球温暖化防止戦略2030の改定の進捗状況についてお答えします。
本県では、今年6月、学識者、経済団体、関係行政機関等から構成される「あいち地球温暖化防止戦略2030改定検討委員会」を立ち上げ、これまで2回会議を開催し、検討を行ってまいりました。

7月5日に開催した第1回の委員会では、戦略改定に向けた課題認識や戦略の改定版の構成を、9月8日に開催した第2回の委員会では、本県における温室効果ガスの排出量や再生可能エネルギー導入量の将来推計の方法、重点的に取り組むべき政策の柱などについて、検討していただきました。

特に個別施策面では、議員お示しのカーボンニュートラル戦略会議における革新的・独創的なアイデアの募集・事業化支援やグリーンボンドの発行を始め、名古屋港等におけるカーボンニュートラルポートの形成や建築物のZEB、ゼロ・エネルギー・ビル化のための事業者向け補助など、現行の戦略策定後に開始した取組を提示した上で、今後強化すべき施策や新たに取り組むべき施策の方向性について議論していただきました。

これに対して、各委員からは、「県民向けの啓発にあたっては、世代や生活環境に応じて異なるアプローチをするべきである」、「今後、対策を進めていく中小企業への支援の強化が重要である」、「運輸部門では、充電インフラ設備等の整備が重要であり、物流対策を進めるべきである」、「脱炭素を民間がビジネスチャンスと捉えることが重要である。産業や経済を興すという側面を強調してほしい」などといった幅広い意見をいただいております。今後、改定検討委員会での意見も踏まえながら、新たな削減目標やそれを達成するために必要な施策の追加などについて検討を進め、パブリックコメントを経て、年内を目途に改定していく予定としております。

2、道路施設の点検における新技術の活用について

(建設局長答弁要旨)
道路施設の点検における新技術の活用についてのお尋ねの内、まず、県が管理する橋梁とトンネルの点検における取組についてであります。橋梁やトンネルの点検は、近接目視、打音検査などが基本とされており、高い橋脚をもつ橋梁やトンネル天井部の点検には、足場設置や高所作業車が必要となるなど、コストや作業の安全性、効率化が課題となっております。また、高齢化の進展による熟練技術者の減少も懸念されております。これらの課題に対応するため、本県では、省力化、安全性の確保のほか、点検の質を高めることを目的に、新技術の活用を進めることとしております。

橋梁点検においては、まずは打音検査が不要と想定される、比較的健全な橋梁について、足場を使わずに近接点検が可能となるドローンの活用を、今年度4橋で試行的に導入してまいります。

また、トンネル点検においては、目視でのひび割れ調査と損傷図の作成に要する現地作業や膨大な手間を削減するため、車両に搭載した高性能カメラによる画像をAI解析し、自動的に損傷図を作成する新技術を、今年度1箇所で試行してまいります。これらの試行を通じて、点検の質を確認したうえで、効果を検証し、適用範囲の拡大を図ってまいります。さらに、国が新技術について取りまとめた「点検支援技術性能カタログ」を参考にしながら、省力化などに繋がる幅広い分野について、新技術の活用を検討してまいります。今後も、効率的な点検を行い、道路の安全性、信頼性を確保してまいります。

次に、技術者不足の市町村に対する橋梁の点検業務の支援についてであります。
県内市町村では、技術者が不足する自治体が多数あり、点検業務の発注、点検に伴う関係機関との協議・調整や健全性の診断など、技術力を必要とする業務に不安を抱えております。このため、市町村の発注支援を行っている愛知県都市整備協会において、市町村の点検、診断業務をまとめて代行し、発注する「道路橋定期点検地域一括発注」を、2015年度から実施しております。地域一括発注における点検結果をもとにした健全性の診断にあたっては、市町村、愛知県都市整備協会、及び点検受託業者からなる「診断結果評価会議」を開催しており、適切な診断結果の判定ができるよう、国、県、及び有識者も参加し、技術的な助言を行っております。これにより、技術者不足に悩む市町村が管理する多くの橋梁の点検、診断が円滑に行われております。このほか、本県としても、市町村職員の技術力向上のため、劣化した橋梁を再現した、名古屋大学にある実験研修施設を利用した現場研修や、新技術の体験研修を開催しており、多くの市町村職員に参加いただいております。

(知事答弁要旨)
道路施設の点検における新技術の活用に関連し、私からもお答えいたします。
本県では高度経済成長期などに集中的に社会インフラの整備が進められ、現在の「産業首都あいち」の基盤を築き上げてまいりましたが、今後、これらの施設は、加速度的に高齢化してまいります。
本年5月に明治用水頭首工で発生した大規模な漏水事故では用水供給が一時停止し、経済活動に多大な支障を及ぼすこととなりました。改めて社会インフラの機能保全の重要性を認識したところであります。こうした社会インフラの適切な維持管理には、DXの推進が有効でありまして、道路や河川、下水道などに関するデータを、位置情報を基に、相互に関連づけるデータベースの構築を図るなど、一層の効率化を図ってまいります。また、県や市町村管理の社会インフラは一体となって機能するものであることから、社会インフラ全体として機能するよう、今後も、国、県、市町村が連携して、点検・機能保全にしっかりと取り組んでまいります。

3、小中学校における不登校児童生徒への支援について

(教育長答弁要旨)
はじめに、小中学校の不登校児童生徒への支援についてお答えをいたします。
県教育委員会では、スクールカウンセラーの配置の拡充や、スクールソーシャルワーカーの配置に係る経費の一部を補助し、小中学校における不登校の未然防止に取り組んでおります。

また、市町村教育委員会では、公民館や図書館などの市町村の施設の中に教育支援センターを設置して、不登校児童生徒の学校への復帰に向けた支援を行っています。
しかしながら、不登校児童生徒の数は、依然として増加傾向にあり、高い水準で推移をしております。そのため、今後は、学校への復帰のみを目指すのではなく、本人が不登校になった理由や置かれている状況に応じて、自分に合った学び方を選択し、社会的な自立に向けて、進路を主体的に考えていけるよう支援を行う必要がございます。

そこで、議員お示しの広島県の例も参考に、本県の総合教育センターにおいても、2026年度の岡崎市への移転を契機に、不登校支援の拠点となる機能を導入してまいります。
そこでは、不登校児童生徒のためのフリースペースの設置や、高校進学に向けた進路相談、オンラインによる仮想空間を活用した教育支援や教材の提供を行っていくことを考えております。

なお、仮想空間による教育支援については、市町村のニーズを把握した上で、来年度から活用ができるよう準備を進めてまいります。
県教育委員会としましては、今後も、県と市町村教育委員会が役割分担をしながら、不登校児童生徒一人一人が可能性を伸ばすことができる多様な教育機会を提供し、きめ細かな支援を行ってまいります。

4、県立高校の空調の公費化に伴う保護者負担の軽減について

(教育長答弁要旨)
次に、県立高校の空調の公費化に伴う保護者負担の軽減についてお答えいたします。
県立高校の空調設備については、昨年4月から、PTAが設置していた137校において、クラスルーム分の普通教室に係る費用を公費負担しております。なお、空調が未設置でありました11校においては、公費により普通教室に新設をいたしました。これにより、137校における保護者の負担額は、108校において減額がされており、保護者1人当たりの年間負担額の平均は、普通教室の公費化以前の 12,314円から今年度は7,443円と、4,871円の減額となり、率にして約4割の軽減がなされております。

一方、保護者負担額を減額しなかった学校は29校あり、その主な理由は、「普通教室は公費化されたものの、生徒数が減少したことにより、特別教室の空調に係る1人当たりの負担額が増額となったこと」や、「普通教室の公費化に伴う保護者負担の減額分を、空調が未設置となっている特別教室への設置費用に振り替えたこと」となっております。

このように保護者の負担が軽減されていない学校もありますが、生徒数の減少は少子化によるものでありますので、教育委員会としましては、今後、そうした学校においても普通教室の公費化の効果が受けられるよう、検討してまいります。また、特別教室への空調の設置につきましては、全国の公立高校における設置が年々進んでいる状況にありますので、他県の状況を見ながら、その在り方について考えてまいります。

令和3年2月議会 代表質問

それでは、公明党愛知県議員団を代表して、県政の諸問題について、順次、お尋ねをいたします。

1、県税収入の見通しと今後の財政運営について令和3年2月議会 代表質問質問の第1は、「財政運営」として、県税収入の見通しと今後の財政運営についてお伺いたします。

まず初めに、県税収入の見通しについて、であります。来年度当初予算における県税収入は、本年度の当初予算額を1,137億円下回る1兆532億円が計上されております。

法人二税に加え、地方消費税や個人県民税といった幅広い税目で減収が見込まれているとのことであります。

東海地域の最近の経済情勢を見ますと、生産活動が自動車関連産業を中心に緩(ゆる)やかに回復するなど、持ち直しているものの、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、個人消費がサービス消費を中心に減少し、雇用情勢も弱い動きが続くなど、厳しい状況が残るところであります。

先行きにつきましても、引き続き持ち直しが続くことが期待されるものの、内外の感染拡大が、輸出型産業が集積する本県経済へ与える影響が懸念されるところであります。

そこでお尋ねいたします。
このような東海地域の経済情勢を踏まえ、来年度の県税収入をどのように見込まれたのか、知事のご所見をお伺いいたします。

次に、今後の財政運営について、であります。本年はコロナ禍克服への突破口を開く重要な年であります。

感染拡大に歯止めをかける取組を強力に推し進めながら、県民の暮らしを足元から支える施策をより丁寧に行っていかなければなりません。その上で、ウィズコロナ・アフターコロナを見据え、短期・中長期の両面から「安心と希望の未来、人と地域を生かす社会」を目指して、着実に施策を推進していく必要があります。令和3年度当初予算は、大変厳しい財政状況の中での編成となりましたが、内容を見ますと、今後の財政運営上の懸念もいくつか見受けられます。

まず、喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症対策に1,300億円を超える予算を計上したことで、当初予算の規模は過去最大となりました。また、高齢化の進展等に伴って増加の一途をたどっている医療・介護などの扶助費が、今回の当初予算において初めて3,000億円を超えたほか、公債費についても、以前、一般会計で計上していた借換(かりかえ)債(さい)の影響を除くと、過去最大の予算額となるなど、義務的経費の増加による財政の硬直化が大変懸念されます。

一方、歳入では、県税及び地方(ちほう)譲与(じょうよ)税の大幅な減収見込みに対して、
地方交付税の振替(ふりかえ)措置である臨時財政対策債の大幅な増加を見込んだことなどにより、県債の予算額が、当初予算としては初めて4,000億円を超えました。この結果、2021年度末の県債残高は5兆6,404億円となり、こちらも過去最大となる見込みであります。

未曾有のコロナ禍においては、県民の命と生活を守り抜くための施策を躊躇(ちゅうちょ)なく実行していくことが何よりも大切であるため、財源確保のために県債を最大限に活用することはやむを得ないと受け止めております。

しかしながら、県債残高の累増(るいぞう)は公債費負担の増加につながり、財政の硬直化をさらにめる要因になるとともに、将来にわたる本県財政の持続可能性という観点からも、決して望ましいものではありません。

そこでお尋ねいたします。
今後の財政運営において、増加する県債残高をどのように捉(とら)え、取り組んでいこうと考えておられるのか、知事のご所見をお伺いいたします。

2、「コロナ禍から県民を守る地域づくり」について質問の第2は、「コロナ禍から県民を守る地域づくり」について、であります。まず、新型コロナウイルスワクチン接種の相談体制等について、お伺いいたします。

昨年1月に国内で初めての感染者が確認されて以来流行している新型コロナウイルス感染症は、依然として厳しい状況下であります。

そのような中、ワクチン接種は、感染拡大に歯止めをかける手段として、大きな期待が寄せられています。現在のところ、国内で接種に使用されるワクチンは、米国ファイザー社に加え、米国モデルナ社及び英国アストラゼネカ社が製造したものが予定されており、このうち、ファイザー社製のワクチンはすでに国内で薬事承認されており、先行接種として、医療従事者約四万人を対象とした接種が始まっています。

ファイザー社とモデルナ社のワクチンはメッセンジャーRNA(アールエヌエー)ワクチン、アストラゼネカ社のワクチンはウイルスベクターワクチンです。ウイルスベクターワクチンは、すでに先天性の代謝(たいしゃ)疾患や癌(がん)の治療に応用されており、感染症の領域でもエボラ出血熱のワクチンとして海外で実用化されています。

一方のメッセンジャーRNA(アールエヌエー)を用いたワクチン開発は新しい技術であり、実用化されるのは今回が初めてとなります。

今回のワクチン接種については、新しい技術によるワクチンに対して不安を感じ、副反応を心配する方、接種を当面見合わせようとされる方が相当(そうとう)程度(ていど)見込まれていることが、民間のアンケート等で明らかとなっています。

通常、ワクチンの承認申請には、臨床試験により収集された安全性と有効性に関するデータを提出することが必要であり、提出されたデータの解析に時間を要するため、承認には少なくとも10年以上を要することが一般的ですが、今回のワクチンについては、迅速性(じんそくせい)を最優先として、異例とも言えるスピードで承認されています。

このことも、県民の方が不安を感じる一つの要因であると考えられます。先月17日から始まった医療従事者等(とう)に対する国の先行接種では、いくつかの医療機関から、軽度の副反応事例が報告されておりますが、概(おおむ)ね、大きな問題もなく順調に進められています。

しかしながら、副反応は、接種後、数週間経過した後に起こることもありうることから、
国ではワクチン接種後、約1か月間、健康状況の調査を行い、被(ひ)接種者の健康経過をしっかりと見守っていくこととしています。

そこでお尋ねいたします。
県民の方に安心してワクチンを接種していただくためには、万一、副反応等が出てしまった場合にも対応できる体制を整えておくことが重要だと考えますが、県としてどのように取り組んでいかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします次に、「学校の新しい生活様式」に向けた、児童生徒への支援体制と学校運営の支援の充実について、お伺いいたします。

昨年5月末にコロナ禍で休業していた学校が再開されて以来、学校では、臨時休業期間中の授業時間を取り戻すために、夏休みの短縮や学校行事を中止・短縮するなどの見直しをせざるを得ない状況となりました。

さらに、経済的状況の悪化により、家庭環境が急変するなど、様々なストレスを抱えた児童生徒も増えました。

こうしたことから、様々なストレスを抱えた児童生徒への対応や、日々の感染症対策等により、これまで以上に業務が増えた教員への対応として、本年度はスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、スクール・サポート・スタッフ、学習指導員の追加配置等が行われました。

ある市では、スクールソーシャルワーカーが、ほぼ全ての小中学校を訪問するなどし、支援が必要な家庭の早期発見につながったと聞いております。

しかしながら、新型コロナウイルス感染症については、第三波による感染拡大に見られるように、未だ、予断を許さない状況であり、今後も児童生徒にとって、制約の多い学校生活が長く続くことが予測されます。

この状況が続けば、心や体の不調を抱えたり、家庭状況が不安定となったりする児童生徒がさらに増え、一人一人の状況にきめ細かく対応していくために教員の業務がより一層増えていくことは、容易に想像できます。

教員の業務の増加は、これまで以上に、教育活動に支障を来すことが懸念されます。児童生徒が、長期休業明けに、久しぶりに出会った友人や先生方の顔を見たときの笑顔を見れば、学校教育の重要性を感じずにはいられません。

コロナ禍においても、子供たちには、感染予防対策を最優先しながらも、学校で友達と先生と共に学ぶことの楽しさを味わわせることができるよう、多くの大人の手で支援をし続けることが大切であると考えます。

そこで、お尋ねいたします。
県教育委員会として、「学校の新しい生活様式」に向けた、児童生徒への支援体制と学校運営の支援を、今後、どのように充実していかれるのか、教育長のご所見をお伺いいたします。

3、「支え合う地域づくり」について質問の第3は、「支え合う地域づくり」について、であります。

まず、地域共生社会の実現に向けた取組について、お伺いいたします。

少子高齢化の進展に伴う家族構成の変化や、住民同士のつながりの希薄化(きはくか)などにより、地域社会における支え合いの力が低下し、こうしたことを背景に、高齢の親が地域社会から孤立し、長期間ひきこもりの状態にある中高年の子どもの生活を支える「8050(はちまるごーまる)問題」や、子育てと親の介護を同時に担(にな)う「ダブルケア」の問題など、個人や世帯が抱(かか)える課題は複雑化してきています。

こうした複雑化する課題を解決していくためには、介護や子育て、生活(せいかつ)困窮(こんきゅう)など従来の分野別(べつ)の支援では十分な対応が難しく、分野横断的(おうだんてき)な支援が求められるとともに、行政による取組だけでなく、人と人、人と地域社会がつながり、一人ひとりが生きがいを持ち、助け合いながら暮らしていくことのできる「地域共生社会」の実現が求められております。

具体的には、介護や障害、子ども、生活困窮などの分野を問わず、複雑化(ふくざつか)する相談を受け止めることができる「相談支援」、ひきこもりの状態にある方などに対し、世帯や個人の課題に応じて社会とのつながりを促(うなが)す「参加支援」、独居(どっきょ)高齢者や子育て世帯の孤立などを防ぐために、住民同士の交流を深め、互いに支え合う地域社会を構築する「地域づくりに向けた支援」の3つの取組を推進していくことが重要となってまいります。

そのため、昨年6月に社会福祉法が改正され、これら3つの取組を一体的に進める「重層的(じゅうそうてき)支援体制整備(せいび)事業(じぎょう)」が創設され、本年4月から市町村が実施できることとされました。また、この事業に取り組む市町村(しちょうそん)への財政支援として、事業に要する費用の一部を国や県が負担する交付金制度も新たに設けられたところであります。昨年9月議会の私ども公明党の代表質問において、地域共生社会の実現(じつげん)に向けた県の取組について質問をしたところ、知事からは、今年度、市町村職員(しょくいん)向けの研修会を実施するなど、市町村の取組を支援していく旨のご答弁をいただきました。

そこでお尋ねします。
県として、地域共生社会の実現に向けてどのような取組を進めてこられたのか、また、今後、どのように進めていかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。

次に、子どもの貧困対策について、お伺いいたします。
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、経済活動が停滞し、休業による収入の減少や失業者の増加など、県民の生活にも多大な影響が生じ、こうした中、子どもの貧困の問題はより深刻さを増していることが懸念されます。

昨年7月に厚生労働省が公表した「国民生活基礎(きそ)調査」によれば、2018年の子どもの貧困率は13.5%であり、子どもの7人に1人が貧困状態にあることが示されました。子どもの貧困率とは、中間的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の子どもの割合を示しており、我が国における子どもの貧困率は、2021年の16.3%をピークとして、これまで改善に向けて進んでおり、前回2015年の13.9%から2018年には13.5%へとわずかに改善してまいりました。

しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響による解雇や雇い止めなどにより就労の機会が失われ、経済的に困窮する子育て世帯も増加し、数字以上に子どもの貧困の問題はより一層深刻化していると考えます。

県においては、2018年2月に「子どもが輝く未来へのロードマップ」を策定し、「教育の機会の均等」、「健(すこ)やかな成育環境」、「支援体制の充実」の3つの視点(してん)から、子どもの貧困に対する取組を進めてきました。

具体的には、生活困窮者に対する自立に向けた支援や生活困窮世帯の子どもに対する学習支援や居場所の提供、また「子どもが輝く未来基金」を活用し、子ども食堂の開設や児童養護施設等の子どもたちへの支援などに取り組んできたところでありますが、コロナ禍により、子どもの貧困がより一層深刻化している現状においては、子どもの貧困対策の充実・強化が強く求められております。

そこで、お尋ねいたします。
コロナ禍における子どもの貧困への対応について、県としてどのように取り組んでいかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。

次に、AYA世代のがん患者に対する妊よう性温存について、お伺いいたします。
AYA世代とは、Adlescent&YoungAdult(アドレッセント アンド ヤング アダルト)の略で、一般的に15歳から39歳までの思春期及び若年成人世代を言います。

また、妊よう性とは、妊娠するための力のことを言い、女性だけでなく男性にも共通して関係することであります。

抗がん剤や放射線、更には手術などの治療により、生殖機能が影響を受け、妊よう性が低下したり、失われたりすることがあります。

AYA世代のがん患者さんにとって、妊よう性の温存は、将来自分の子どもを持つという希望を抱(だ)いて、前向きにがん治療に取り組むためにも、大変重要であると考えます。

しかしながら、妊よう性温存治療を進めるに当たっては、2つの大きな課題があると考えています。まず、妊よう性温存に関する患者さんへの情報提供についてです。

国立がん研究センターが2019年度に全国のがん患者さんを対象に実施した調査によれば、がん治療を開始する前に、医師からその治療による妊よう性への影響について説明があったとする回答割合は、約半数にとどまっており、妊よう性温存に関する情報がAYA世代のがん患者さんに十分届いていない可能性があります。

AYA世代のがん患者さんは年代によっても、病状だけでなく就学、就労など個々の事情が大きく異なり、正確な情報を県や医療機関がきめ細かく、確実に患者さんへ提供することが必要であると考えます。

また、高額な治療費に対する経済的な支援についても重要です。妊よう性温存治療は医療保険が適用されないため、全額自己負担となります。

患者団体が2017年に、がん罹患(りかん)時に20歳から50歳であった男女を対象に実施したアンケートによれば、約21%の人が妊よう性温存治療に関する費用が高額であるため、治療をあきらめたと回答しております。

特にAYA世代は、若年で経済的基盤が弱い方が多く、高額ながん治療費に加え、妊よう性温存治療費も負担しなければならず、経済的な支援を必要としています。

そこでお尋ねいたします。
AYA世代のがん患者さんの妊よう性温存について、どのように取り組んでいかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。

4、「魅力・活力ある地域づくり」について質問の第4は、「魅力・活力ある地域づくり」について、であります。まず、地域のイノベーションを支えるスタートアップの創出・育成について、お伺いいたします。

現在、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により社会経済を支える多くの企業がダメージを受け、先行き不透明感が世界中に広がっています。

感染再拡大に苛(さいな)まれる中でも、欧米諸国では、ポストコロナにおいて今後成長を牽引(けんいん)するイノベーションを加速する「攻め」の姿勢に軸足(じくあし)が移されています。

我が国でも昨年12月に総合経済対策が閣議決定され、中小企業の事業再構築(さいこうちく)支援を通じた体質強化や、スタートアップを始めイノベーションを生み出す環境の強化などの施策に資源を集中投下する方針が示されました。

県では、スタートアップを起爆剤とするイノベーション創出に本腰を入れて取り組んでいるところですが、12月に開催された日本経済新聞主催のスタートアップをテーマとするシンポジウムでは、様々な意見が出される中で、地元企業には優秀な技術者が多くおり、そうした人材を有効に活用する必要があるとの課題が挙げられていました。

本県には、大企業はもとより中小企業にも、多くの優秀な人材がおり、まだまだその力を発揮する余地があるということだと思います。

一方でグローバル化やデジタル技術の加速度的(かそくどてき)な進展により、今後、産業構造も大きく変革されていくことが想定されます。

日本の成長エンジンであるこの地域が、引き続き産業競争力を維持・強化していくためには、地元の優秀な人材が活躍するスタートアップの起業を促(うなが)し、成長を後押しすることで、イノベーションの起爆剤となるスタートアップの厚みをさらに増やし、本県産業の変革を支えていかねばなりません。

そこでお尋ねいたします。

2024年10月に開設するステーションAiには1,000者のスタートアップを見込んでいるとのことですが、当地域の人材を生かして、どのようにイノベーションを支えるスタートアップを創出・育成していかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。

次に、観光振興におけるジブリパーク開業効果の活用について、お伺いいたします。

新型コロナウイルス感染症は、観光の分野にも大きな影響を与えております。人の移動を伴う観光需要は大幅に減少し、観光関連産業は大変厳しい状況に置かれております。JNTO(ジェーエヌティーオー)、日本政府観光局の統計では、2010年に861万人だった訪日外国人旅行者数が、2019年には3,188万人まで増加するなど、右肩上がりの成長を続けていました。

今後、ワクチン接種の進展などにより、感染症への不安がなくなれば、観光は、再び成長性のある魅力的な市場となり、再び地域間競争が厳しさを増していくと思われます。新型コロナウイルス感染症の影響で旅行・観光市場が冷え込む中においても、感染症が終息した後の反転攻勢に向けて、しっかりと準備を進めていく必要があると考えます。

県では、昨年12月に策定した「あいち観光戦略2021(にせんにじゅういち) -(から)2023(にせんにじゅうさん)」において、観光関連産業の振興を図ることを目的として、感染拡大前に過去最大であった2019年の観光消費額の実績、約8,600億円をさらに伸ばし、2023年に1兆円とする目標を設定しております。

そして、この目的・目標の達成に向けた取組の方向として、「多様な資源の磨き上げによる観光コンテンツの高付加価値化(かちか)」と、「愛知の独自の強みの活用・伸長による競争力の向上」を掲げております。

2022年秋に開業予定のジブリパークは、間違いなく、世界中から注目を集める、魅力ある付加価値の高い観光コンテンツとして、観光振興における本県の最大の強みの一つとなることから、その開業効果を十分に活用することにより、本県の観光を、さらに大きく伸ばしていくことが期待されます。

そこでお尋ねいたします。
ジブリパークの開業効果を県内に広く波及し、観光消費を拡大させていくため、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。

5、「安全・安心な地域づくり」について質問の第5は、「安全・安心な地域づくり」についてであります。

まず、若者世代の防犯意識の醸成(じょうせい)について、お伺いいたします。本県における昨年の刑法犯認知(にんち)件数は、前年対比20%減少の39,897件であり、2006年以降、5次にわたる短期・集中的な3年ごとの地域安全戦略の取組により、戦後最多を記録した2003年の約22万5千件から約2割まで減少いたしました。

しかしながら、特殊詐欺につきましては、昨年の認知件数は569件と8%減少したものの、被害総額は約13億円と30%増加しており、県民の安全安心を脅かす非常に憂慮すべき状況にあります。

また、被害者の8割以上を高齢者が占めており、老後の生活の糧(かて)となる貴重な財産を奪われ、精神的な痛手も大きく、極めて卑劣で許されない犯罪であります。

その犯罪構造を見てみますと、若者が重大な犯罪という認識もなく、アルバイト感覚で「受け子」や「架(か)け子」等の実行犯として加担している現状にあります。

今後も、コロナ禍における収入の減少と失業者の増加といった社会不安に乗じて、特殊詐欺が一層増加することも懸念されます。

このため、県警察においては、検挙活動の強化に加え、留守番電話機能等の活用を促す広報啓発や、特殊詐欺被害(ひがい)防止(ぼうし)コールセンターから高齢者宅への注意喚起を行うとともに、高額出金者(しゅっきんしゃ)への声掛けと警察への通報を金融機関(きかん)等(とう)に依頼するなど、被害の未然防止のための各種(かくしゅ)取組(とりくみ)が展開されているところであります。

現在策定が進められております、次期「あいち地域安全戦略2023(にせんにじゅうさん)」では、刑法犯認知(にんち)件数の更なる減少を目指して、各種の施策が盛り込まれておりますが、特殊詐欺の撲滅に向け、抜本的な対策を講じていくためには、これら県警察の対策に加え、若者世代の防犯(ぼうはん)意識や規範(きはん)意識の醸成(じょうせい)など、新たな視点からの対策も非常に重要だと考えます。

そこでお尋ねいたします。
特殊詐欺の撲滅に向け、若者世代の防犯(ぼうはん)意識を醸成(じょうせい)していくために、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。

次に、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を踏まえた今後の治水対策について、お伺いいたします。

近年、気候変動の影響により水(みず)災害(さいがい)は激甚化・頻発(ひんぱつ)化(か)し、
令和2年7月豪雨では、梅雨(ばいう)前線の停滞により全国各地で記録的な大雨となり、大河川での氾濫が相次いだほか、土砂災害、低地(ていち)の浸水等により、人的被害や物的被害が多く発生しました。

県においては、愛知県地域強靱化計画に基づき、2018年から国の「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を活用するなど、これまでも様々な防災・減災対策やインフラの老朽化対策に取り組んでおりますが、未だ備えは十分ではなく、
災害に屈しない強靱な県土づくりを進めるためには、防災・減災、国土強靱化の取組の加速化・深化を図る必要があります。

こうした中、国は、「国土強靱化基本計画」に基づき、概ね15兆円程度を目処とした「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を昨年12月に定め、来年度からの5年間で重点的かつ集中的に対策を講ずることとしました。

この対策は、「風水害(ふうすいがい)や大規模地震等への対策」、「予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策の加速」、「デジタル化等の推進」を柱として、取組を進めることとしております。本県は、日本最大のゼロメートル地帯に、約80万人の県民が暮らし製造品出荷額等が約9兆円に上る産業も集積しています。

しかし、伊勢湾台風や高度成長期に集中的に整備され、ゼロメートル地帯を守ってきた排水機場などのインフラは、今後一斉に老朽化が進み、維持管理・更新を確実に実施しなければ、中長期的なトータルコストの増大を招くのみならず、本県の行政・社会経済システムが機能不全に陥る懸念があります。

この現況下において、大規模な水(みず)災害(さいがい)が発生すると、多くの人命が危機にさらされ、また、産業や交通が機能停止するようなことがあれば、全国に甚大な経済損失を与えることとなります。

「防災・減災を政治、社会の主流に」を掲げる、私たち公明党は、地域を守る防災インフラの老朽化対策とあわせ、激甚化(げきじんか)する風水害(ふうすいがい)への対策を加速していかなければならないと考えます。

そこでお尋ねいたします。
「5か年加速化対策」を踏(ふ)まえた本県における今後の治水対策についてどのように取り組んでいかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。

6、「一人ひとりが輝く地域づくり」について質問の第6は、「一人ひとりが輝く地域づくり」について、であります。まず、愛知県におけるDX(ディーエックス)の推進について、お伺いいたします。

国は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策を通じ、行政分野のデジタル化に関する様々な課題が明らかになったことなどを受け、その対応を含め、社会全体のデジタル化を強力に進めることとし、昨年12月25日には「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」を閣議決定しました。

この基本方針では、デジタル庁の設置の考え方や、デジタル社会の目指すビジョンとして、「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会」を掲げ、このような社会を目指すことは、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」を進めることにつながるとしています。

県では、昨年10月に「愛知県DX推進本部」を立ち上げ、DX推進本部を司令塔として、プランに掲げる施策に全庁一丸となって取り組むこととし、12月には、行政のデジタル化、産業界におけるDXの促進(そくしん)、産業人材育成、ICT教育など様々な施策を幅広く盛り込み、新たに進捗(しんちょく)管理指標(しひょう)等(とう)を設定する「あいちDX推進プラン2025(にせんにじゅうご)」を策定しております。

その間、11月議会には、行政手続等のオンライン化に向けた課題分析(ぶんせき)等(とう)、県行政のデジタル化に向けた取組に係る予算を提案されるなど、これらの矢継早の取組を高く評価したいと思います。また、県のデジタル化には、民間との連携・協力が極めて重要であることは言うまでもありません。

12月16日には、我が党の議員も立ち会わせていただき、「愛知県と日本マイクロソフト株式会社と連携・協力に関する包括協定」が締結されました。

デジタルを利用した学校教育やデジタル人材の育成などについて連携・協力することとし、民間との連携にも県は積極的に取り組む姿勢を見せております。

我が党も、民間と連携を進める県の取組の後押しをしてまいりたいと思います。来年度当初予算案では、プラン策定後最初の予算として、テレワーク環境の整備、デジタル人材育成、自動車安全技術の推進、スマート農業の推進など、新規・拡充事業を含め幅広く計上されており、この中には、我が党が要望しているデジタル社会を支える人材の育成の強力な推進、「デジタル・ミニマム」の視点を踏まえた高齢者を始めデジタル機器に不慣れな人に対する環境整備も含まれており、きめ細かな対応がなされております。

早急に着手し、着実に成果を上げていただきたいと思います。その上で、愛知県における行政のデジタル化・DXを迅速に推進し、県民サービスの向上に迅速・着実につなげていくためには、司令塔であるDX推進本部を中心に、県の組織体制をさらに整備し、必要となる予算をしっかりと確保し、集中的に取り組むことが必要と思われます。

そこでお尋ねいたします。
国も行政のデジタル化を進める中、県として今後どのように行政のデジタル化・DXに取り組んでいかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。

次に、県立商業高校におけるデジタル人材の育成について、お伺いいたします。
現在、県においては、先ほど申し上げたとおり「あいちDX推進プラン2025(にせんにじゅうご)」が策定(さくてい)され、「デジタル人材の育成」が柱(はしら)の一つとして掲(かか)げられ、学校教育においては、ビジネスモデルの変革を推進できる産業人材の育成に向けて、ICT教育を充実することとしております。

こうした中、教育委員会では、高速通信ネットワークの整備や、生徒用タブレット端末4万台の配備を進め、民間のオンラインサービス「スタディサプリ」を全県立学校の生徒を対象に導入して学習支援に取り組むなど、ICT教育の充実を図っております。

また、来年度から県立工業高校を工科高校に校名変更するとともに、「IT工学科」の新設や「ロボット工学科」の拡大など、デジタル化が進む産業界で即戦力となる人材の育成に取り組んでおります。

さて、本県の職業学科の中で工業高校に次いで生徒数が多いのは商業高校であります。本県は、商業科で学ぶ生徒は全国で最も多く、約1万3千人であります。

そのうち県立商業高校は約8千人であり、以前からプログラミングやネットワークなどの情報教育に取り組んでおります。

こうしたデジタル人材育成の素地(そじ)がある商業高校の学びを更に充実させていくことが重要であると考えます。県立商業高校には、11月補正予算により生徒一人一台、タブレット端末を重点的に配備することとされております。

また、2月補正予算においても、国が進める工業や商業などの職業(しょくぎょう)系(けい)専門高校を対象とした「スマート専門高校」の実現に向けた事業を受け、県立商業高校において最先端のデジタル化に対応した産業教育装置(そうち)を整備する予算が計上されております。

そこでお尋ねいたします。
県立商業高校ではデジタル人材の育成に向けて、どのような取組を進めていかれるのか、教育長のご所見をお伺いいたします。

7、新しい生活様式に対応したテレワークの推進について最後に、新しい生活様式に対応したテレワークの推進について、お伺いいたします。

ICTを活用して時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を可能にするテレワークは、従業員の仕事と生活を両立させるワーク・ライフ・バランスの実現や、女性、障害者などが活躍する機会の拡大、労働時間や通勤時間の削減など、新しい働き方を実現する手段の一つでもあります。

また、企業にとっても、生産性の向上を図ることや、人材の確保につながるほか、オフィスの維持や従業員の移動に伴うコストの削減につながる効果も期待され、さらにはBCP対策として、緊急時の事業継続としても効果が期待されます。

昨年4月、5月の新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言を契機に、急速にテレワークが広まりましたが、テレワークは緊急事態宣言解除後減少していると言われています。

一般社団法人中部経済連合会が2020年10月~11月に実施した「コロナショックによる課題認識、対応状況に関するアンケート」においても、25%の企業がテレワークを新型コロナ以降に実施したが、現在は取りやめたという結果になっております。

一方、テレワークの導入に当たっては、できる業務が限られている、情報セキュリティの確保が難しい、書類・資料が電子化されていない、勤怠管理が難しいといった様々な課題が明らかになっております。

さらに、実際にテレワークを実施した企業からも、部下と上司、同僚、取引先とのコミュニケーションが取りづらかった、人事評価や健康状況の把握など、これまで想定していなかった労務管理上の対応に苦慮したとの声も聴いております。

ウィズコロナ・ポストコロナの時代も見据えると、テレワークの役割はますます重要であり、企業がこうした課題を克服し、適切に労務管理を行いながら、労働者が安心して働くことのできる形でテレワークを推進し、定着させていくことが必要であります。

そこでお尋ねいたします。
ウィズコロナ・ポストコロナを見据え、テレワークの導入促進と定着のために今後どのように取り組んでいかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。

以上、公明党愛知県議員団を代表しまして、県政各般にわたる様々な課題について、質問をしてまいりました。知事始め理事者各位の明快な答弁を期待いたしまして、質問を終わります。

ご静聴ありがとうございました。

令和3年2月議会 公明党 代表質問に対する知事及び教育長答弁要旨

【知事答弁要旨】

県税収入の見通しについて

来年度の県税収入につきましては、各種経済指標や企業の業績予想のほか、昨年12月上旬までに行った主要企業500社への個別の聞き取り調査の結果などを踏まえて見込んだところであります。

上場企業の2021年3月期の業績予想は、本県の主要産業である自動車産業などで持ち直しの動きがみられるものの、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、連結経常利益全体で23%もの大幅な減益が見込まれております。

こうした企業収益の状況を反映し、法人二税は、本年度当初予算額に比べ2割を超える684億円の減となる2,574億円を計上したところであります。

加えて、個人消費の減少による地方消費税の減収、現下の厳しい雇用・所得環境を反映した個人県民税の減収など、幅広い税目で減収が見込まれることから、県税全体では、1兆532億円と、本年度当初予算から1,137億円の減収が見込まれます。

また、特別法人事業譲与税などの地方譲与税を合わせると1,618億円もの減収が見込まれ、これは、過去3番目の大幅な減収であります。

税収を取り巻く環境は大変厳しい状況でありますが、今後も、新型コロナウイルス感染症が本県経済へ与える影響を注視しながら、当初予算計上額の確保に努めてまいりたいと考えております。

今後の財政運営について

2021年度当初予算では、県税収入等の大幅な減収に対応するため、地方交付税の振替措置である臨時財政対策債を前年度から1,400億円増額計上した結果、2021年度末の県債残高は、5兆6,404億円となり、前年度に比べ1,186億円増加する見込みであります。

このうち、投資的経費に充てる通常の県債の実質的な残高は、2021年度末で2兆441億円となる見込みであり、「あいち行革プラン2020」の進捗管理目標である2019年度決算における残高を超えない水準を維持しております。

今後も、着実に償還を進めつつ、必要な公共投資を確保しながら、残高の水準を維持・抑制するよう努めてまいります。

一方で、県債残高の半分以上を占める臨時財政対策債などの特例的な県債の発行が多額になっており、これが県債残高全体を増加させる要因となっております。

臨時財政対策債の元利償還金は、後年度に国が全額財源保障するものでありますが、地方財政全体の持続可能性の観点から大きな課題であると認識しております。

本来あるべき姿は、地方交付税として交付されることでありますので、国税の法定率引上げ等による臨時財政対策債の廃止について、引き続き、国に主張してまいります。

併せて、来年度は、国が拡充した財政融資資金などの低利な公的資金を可能な限り確保してまいります。

新型コロナウイルスワクチン接種の相談体制等について

新型コロナウイルスの感染収束の兆しが見えない中、その切り札として期待されるワクチン接種については、安心して県民の皆様に受けていただき、集団免疫の獲得に繋げていくことが重要です。

そのためには、国、県、市町村及びワクチンメーカーが、それぞれの役割に応じて、ワクチン接種に関する様々な相談に対応していく必要があります。

その役割において、市町村では、ワクチン接種に関する一般的な相談を受け持つ一方、県では、市町村で対応困難な医学的知見を必要とする専門的な相談に対応することとなっております。

こうしたことから、県では、現在12の県保健所等で実施している、保健師や看護師による新型コロナウイルス感染症の電話相談窓口において、ワクチン接種に関する相談に、よりきめ細かく応じていくため、4月から体制をさらに拡充し、]市町村では対応困難な相談にもしっかりと対応できるようにしてまいります。

さらに、ワクチン接種後、副反応を疑う症状を示した方への対応につきましても、県内10か所程度の専門的医療機関の協力を得て、かかりつけ医では対応困難な副反応の症状、総合的に対応できる医療体制を今月中に確保してまいります。

こうした取組により、県民の皆様からの相談等にきめ細やかに対応し、安心してワクチンを接種していただける体制を万全に整備してまいります。

地域共生社会の実現に向けた取組について

地域共生社会を実現するためには、地域住民の複雑化する様々な課題へ適確に対応する
「重層的支援体制整備事業」に、市町村が積極的に取り組んでいただくことが重要であると考えております。

そのため本県では、昨年10月に地域共生社会の推進に関する研修会を開催し、有識者による講演や県内外の自治体の先進事例を紹介するなど、事業の実施に向け、市町村を後押ししてまいりました。

こうした取組の結果、岡崎市、豊田市、東海市、大府市及び長久手市が、来年度から取り組んでいただけることとなり、5市への交付金4億余円を2021年度当初予算案として提案しております。

この事業につきましては、来年度、全国で42の市町が事業を開始する予定としており、
5市の実施は都道府県のうちで最も多く、本県では積極的に取組を進めていただいている状況にあります。

また、今月中に策定する「あいち福祉保健医療ビジョン2026」では、2026年度までに、20市町村での実施を数値目標に掲げることとしており、目標達成に向け、引き続き市町村を対象とした研修会を開催し、有識者による講演や、先行実施する5市の取組状況を紹介するなど、市町村における取組を促進してまいります。

今後とも、地域で暮らす全ての方々が、生きがいや役割を持ち、共に助け合いながら安心して暮らせる地域共生社会の実現に向け、しっかりと取組を進めてまいります。

子どもの貧困対策について

コロナ禍における子どもの貧困対策につきましては、休業や失業などに伴う収入の減少により、経済的に逼迫する子育て世帯を支援することが重要であります。

そのため、生活福祉資金貸付金の対象に、コロナ禍により収入が減少した世帯を加えるとともに、生活困窮世帯の家賃相当額を支給する住居確保給付金の支給要件の緩和などを行ってまいりました。

この結果、本年1月末までの生活福祉資金の貸付決定額は約156億8千万円、住居確保給付金の支給額は約9億8千万円と、非常に多くの方々にご活用をいただいております。

また、コロナ禍で人と人とが触れ合う機会が減少する中、子ども食堂は、子どもたちに食事を提供するだけでなく、子どもの孤立を防ぐ居場所として重要な役割も担っておりますことから、安全安心に開催できるよう、11月補正予算で感染防止対策に必要な経費を計上し、衛生用品等の購入費用を助成しているところであります。

来年度におきましては、新規に開設される子ども食堂の感染防止対策に必要な費用を助成することにより、コロナ禍における子ども食堂の開設を支援してまいります。

今後とも、生活困窮対策や子ども食堂への支援など、子どもの貧困対策を推進し、コロナ禍においても、未来を担う子どもたちが、健やかに成長できる環境の整備にしっかりと取り組んでまいります。

AYA世代のがん患者に対する妊よう性温存について

がん患者さんの妊よう性温存は、将来自分の子どもを持つという希望を抱いて、前向きにがん治療に向き合うためにも、大変重要です。

まず、妊よう性温存に関する情報提供についてであります。

本県では、AYA世代のがん患者さんに対し、がん対策のウェブページや、がんに関する有用な情報を記載した「あいちのがんサポートブック」の中で、「妊よう性温存」について普及啓発しております。

また、今月新たに、専門医監修のもと、がん治療が妊よう性に与える影響や、妊よう性温存治療までの流れについて分かりやすく記載したリーフレットを作成し、医療機関に配布することにより、がん患者さんやご家族に必要な情報が確実に届くようにしてまいります。

次に、妊よう性温存に対する経済的支援についてであります。

妊よう性温存に係る治療費は高額なため、患者さんへの経済的な支援が必要であると認識しております。

そこで、本県では来年度から、治療費を助成する事業を新たに創設し、受精卵凍結には35万円、卵巣組織凍結には40万円など、治療方法に応じた費用を直接患者さんに対し助成できるようにしてまいります。

今後も、丁寧な支援を継続し、AYA世代のがん患者さんに寄り添い、「がんになっても安心して自分らしく暮らせるあいち」の実現を目指してまいります。

地域のイノベーションを支えるスタートアップの創出・育成について

世界的な大企業やノーベル賞を輩出する大学などに多くの優秀な人材を抱える本県は、スタートアップ拠点としてのポテンシャルが非常に高い地域であります。

新型コロナウイルス感染症の収束後、本県産業が更なる飛躍を図るためには、この地域の優秀な人材がスタートアップを立ち上げ、次々とイノベーションを創出することが必要となります。

「ステーションAi」はその中核施設であり、昨年11月に入札公告を行い、PFI事業者の選定手続を進めております。今後は、本年7月に落札者を決定し、9月議会に事業契約議案を提出する予定としており、その後、10月にPFI事業契約を締結し、設計・建設の整備期間の約2年8か月を経て、2024年10月に供用開始する計画です。

また、「ステーションAi」を整備する間においても切れ目のない支援を行うため、WeWorkグローバルゲート名古屋に設置する早期支援拠点を、4月から「プレ・ステーションAi」として機能強化し、起業を志す者、第二創業者、社内起業家など多様なスタートアップの活動拠点としてまいります。

さらに、社会人起業家をメインターゲットとする「あいちスタートアップキャンプ」や、新たに事業承継・第二創業者に対象を拡大する起業支援金、世界トップクラスの経営大学院であるフランスのINSEADによる企業の新規事業担当者向けの講座などにより、スタートアップや新規事業を次々と生み出し、育て、成長を促す取組を強化してまいります。

イノベーションの創出に大きな潜在力を持つ地域には、人々を吸い寄せる強い磁場があります。この地域の人材の育成と共に、国内外から人材を集め、多様な人材が活躍する愛知独自のスタートアップ・エコシステムを形成し、日本経済を盛り上げてまいります。 

観光振興におけるジブリパーク開業効果の活用について

ジブリパークは、世界中の多くの人々を惹きつける、大変強力な観光コンテンツであることから、その開業効果を活用して国内外から多くの旅行者を呼び込むとともに、県内各地での宿泊や周遊観光に誘導し、観光消費を拡大させていくことが重要であります。

そのため、本県では、ジブリパークの来場者に対し、旅行業、宿泊業、観光施設などの観光関連事業者等が、デジタルを活用して効果的に情報発信を行うための仕組みを構築することとしております。

具体的には、ジブリパーク来場者への入場チケットの販売を担う、株式会社ブギウギエンタテインメントと連携し、同社が保有する来場者の年齢、性別、居住地や、趣味・嗜好などのデータを活用して、観光関連事業者等が、ターゲットに対し的確にインターネット広告を配信するシステムを構築してまいります。

また、ジブリパークを活かして本県の観光のブランド力を強化するため、株式会社スタジオジブリに監修を依頼して「ジブリパークのある愛知」をイメージしたデザインや動画を制作し、本県や市町村、観光関係団体及び事業者等が行う観光誘客の取組に活用してまいります。

ジブリパークの開業を機に、「ジブリパークのある愛知」として地域が一体となり、本県の観光を大いに盛り上げ、新たな顧客を開拓していくことにより、観光消費の拡大につなげてまいります。

若者世代の防犯意識の醸成について

特殊詐欺は、被害者の大半を占める高齢者の生活の根幹を脅かす極めて卑劣な犯罪であるにもかかわらず、その重大性を認識せずに加担する若者が多いことから、若者世代の防犯意識の醸成に社会全体で取り組むことが大変重要であります。

このため、次期「あいち地域安全戦略2023」では、特殊詐欺を最も重要な課題の一つとして位置づけ、県警察による検挙活動はもとより、高齢者の被害防止対策として、金融機関での声かけや、老人クラブ・民生委員等と連携し、年々巧妙化する手口への注意喚起を行うなど、地域が一体となった取組を推進してまいります。

また、特殊詐欺の撲滅に向けた新たな対策として、将来ある若者たちが安易に加害者となることがないよう、大学や自主防犯団体等と連携し、インターネット上に潜む危険や、犯罪行為としての重大性を呼びかけ、防犯意識と規範意識の醸成を図ってまいります。

さらに、同じ若者の立場からの取組も極めて重要でありますので、県主催の養成アカデミーにおいて、学生ボランティアの育成強化を図るとともに、若者による防犯ボランティア団体の立ち上げや活動を支援し、若者世代の参画を一層促進してまいります。

今後も、次代を担う若者世代の防犯意識の醸成にしっかりと取り組み、特殊詐欺の更なる抑止につなげてまいります。

「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を踏まえた今後の治水対策につい

水災害が激甚化・頻発化する中、治水対策は危機に強い愛知、安全・安心な愛知をつくっていく基本となるものであります。

国土強靱化に向け、昨年取りまとめられた「5か年加速化対策」において、国土交通省は、「風水害や大規模地震等への対策」を柱の一つとして掲げております。

本県におきましては、「5か年加速化対策」を計上した今年度の国の第3次補正予算も積極的に活用し、これまで一体的に進めてきた八田川の改修と地蔵川の排水機場、及び広田川の菱池遊水地などの早期完成を目指します。

また、柳生川地下河川や日光川2号放水路の工事着手に加え、大山川では豊山町青山地区における広域防災拠点の計画と併せ調節池を整備するなど、広域にわたって治水効果を発揮する大規模事業にも取り組んでまいります。

さらに、地震・津波、高潮に備え、堤防の耐震対策や機能強化を進めるとともに、排水機場、水門を始めとした防災インフラの老朽化対策を加速するなど事前防災対策を一層推進してまいります。

今後とも、国土強靱化関係予算を最大限活用した河川や雨水貯留浸透施設の整備などに加え、水害リスク情報の充実や避難体制の強化など、あらゆる関係者が協働して流域全体で行う「流域治水」の方針に基づき、治水対策に全力で取り組んでまいります。

愛知県におけるDXの推進について

昨年10月に愛知県におけるDXの司令塔として愛知県DX推進本部を立ち上げました。

年末には、あいちDX推進プラン2025を策定し、来年度予算案には、プランに掲げる様々な施策を積極的に実施・推進するため、2020年度を大きく上回る総額約40億円のDX推進関連予算を計上いたしました。

また、本年4月1日に、新たに総務局内に「DX推進室」を設置し、民間企業、市町村からの派遣職員を含め14名で、プランに掲げる施策の実施・推進を加速させます。

この体制により、AI・RPA等の先進的なICT技術を取り入れた業務変革、テレワーク環境の整備充実、デジタル人材の育成、市町村との連携・協力等を進めてまいります。

さらに、行政手続のオンライン化についても、行政手続の実態調査・課題分析等の結果を踏まえ、今後、県としての方針の策定を早急に行ってまいります。

加えて、新たにデジタル人材を確保していくことも重要と考えております。

民間企業との人事交流の実施はもとより、民間企業等職務経験者を対象とした職員採用試験に「ICT」の試験区分を新設するとともに、採用試験を年2回、随時採用として幅広く人材を求めるなど、人材の確保にも取り組んでまいります。

さらに、連携・協力に関する包括協定を締結している日本マイクロソフト株式会社様から技術的アドバイスをいただき、愛知県感染防止対策協力金に関する県民の皆様からの御質問に、AIにより自動応答するシステムであるチャットボットを1月14日から導入・運用し、3月1日までに8,022件の実績があります。

これにより、県民の皆様の御質問に24時間対応できるようになり、チャットボット導入前日の1月13日は、電話での問合せが819件ありましたが、現在では、平日が100~200件程度、休日が50件程度となっており、特に、日中はコールセンターに電話できない方などにとって利便性が向上したと考えております。

今後は、他の施策への横展開を図り、一層の利便性の向上と更なる業務効率化を進めてまいります。

今後も、DX推進本部を司令塔として、行政のデジタル化・DXに庁内横断的・機動的に取り組んでまいります。

新しい生活様式に対応したテレワークの推進について

テレワークは、ウィズコロナ・ポストコロナ時代における新しい働き方であり、ワーク・ライフ・バランスの推進や、人材確保などを通じた企業の持続的発展にもつながることから、円滑に制度の導入や定着を図っていく必要があります。

このため、今年度は、テレワークの導入プロセスなどを学ぶセミナーや相談会、アドバイザー派遣を実施しており、支援企業の約6割が「導入済」、残り4割の企業も「導入に向けて準備中」であるなど、着実に成果を上げております。

こうした取組をさらに加速させるため、年度内に策定する「あいちテレワーク推進アクションプラン」に基づき、2023年度までの3か年で、中小企業等に対するテレワークの導入支援を集中的に行ってまいります。

初年度となる2021年度においては、新たに名古屋市内にテレワークサポートセンターを設置し、専門家による導入に関する相談、機器操作体験、動画による業種別の導入事例の紹介、導入後のフォローなど、導入から定着まで一貫したサービスをワンストップで提供いたします。

今後とも企業に寄り添った取組を着実に進めることにより、テレワークを一時的なムーブメントに終わらせず、多様な働き方が可能で、誰もが安心して活き活きと働ける社会の実現を目指してまいります。
  

【教育長答弁要旨】

新型コロナウイルス感染症に関する児童生徒及び学校運営の支援体制の充実について

「学校の新しい生活様式」の中で、子供たちが、安心安全な教育環境で、生き生きと活動し、成長していくことが大切であります。

そのためには、スクールカウンセラーなどの外部人材を有効に活用して、支援体制をより強化していくことが必要であると考えております。

まず、スクールカウンセラーについては、小中学校の相談時間数を増やし、高等学校・特別支援学校は増員することで、児童生徒の心のケアをする体制を充実してまいります。

また、スクールソーシャルワーカーについては、小中学校における相談体制を整えるために全市町村に配置できるように支援を拡充し、高等学校・特別支援学校には増員することで、家庭状況に課題を抱える児童生徒への支援や、関係機関との連携を強化してまいります。

さらに、小中学校には、授業準備や感染予防業務等の補助を行うスクール・サポート・スタッフや、児童生徒への学習支援を行う学習指導員を配置し、教員が児童生徒にきめ細かな対応ができる体制を整えてまいります。

今後も、児童生徒及び教員や学校への支援体制を充実し、子供たちが安心して学校生活を送れるよう努めてまいります。

県立商業高校におけるデジタル人材の育成について

社会におけるデジタル化が急速に進む中、工業高校ではモノづくりの生産現場に密着した面から、商業高校ではサービスやビジネスを担う面から地域の産業を支えるデジタル人材を育成していくことが重要であると考えております。

教育委員会では、議員お示しのように県立商業高校に本年度、生徒一人一台タブレット端末を配備するとともに、高性能PC端末などの産業教育装置を新たに整備することに加えて、来年度も民間のオンライン学習支援サービス「スタディサプリ」を全ての県立高校で継続利用できるようにしてまいります。

商業高校では、これまでも情報処理技術に関する国家試験の合格を目標の一つとして情報教育に取り組んでまいりました。

今後は、タブレット端末を活用した課題解決学習やアプリケーション開発に取り組み、また、「スタディサプリ」のWebデザインプログラミング講座を活用するなど、整備されたICT機器等を有効に活用して、社会で求められる実践的なICT活用能力を身に付けたデジタル人材の育成に努めてまいります。

このような取組により商業教育全体を時代のニーズに合わせ、先進的な産業教育へとステップアップしてまいります。

令和元年9月議会 一般質問

質問の第一は、財政運営についてであります。

今後の財政運営についてお伺いいたします。
我が国の景気は、輸出を中心に弱さが続いているものの、緩やかに回復しておりますが、先行きについては、通商問題をめぐる緊張の増大が世界経済に与える影響や、金融資本市場の変動の影響などに留意する必要があるとされており、とりわけ、輸出型産業が集積している本県の県税収入への影響が心配されます。また、この十月から消費税及び地方消費税の税率が一〇%へ引き上げられます。これに伴い、さまざまな税制改正、制度改正が予定されており、本県の歳入、歳出への影響は、来年度以降、本格化してくるものと考えております。

 総務省では、先月末の国の概算要求時に、令和二年度地方財政収支の仮試算を公表いたしました。この試算によりますと、来年度は、地方税等については地方消費税の税率引き上げ等を反映して〇・八兆円の増を見込み、また、地方交付税は〇・六兆円の増、地方一般財源総額は一・三兆円の大幅な増加となっています。これは幼児教育の無償化など、人づくり革命に伴う歳出増や社会保障費の自然増を織り込み、一般財源を増額して、自治体財政にしわ寄せを与えないよう配慮しているものと考えられます。

しかし、一方で、骨太の方針二〇一八で定められた地方歳出の目安は二〇一八年度と実質同水準とされており、今後の国の予算編成において、果たして十分な財源がしっかりと確保されるのか、慎重に見ていく必要があります。こうした中、今後も本県の成長を加速させるプロジェクトを強力に推進しつつ、活気ある温かな地域づくりを実現していくためには、こうした制度改正の影響を的確に把握し、時には国へ意見しつつ、安定的な財政運営の確保に努めていく必要があると考えます。

そこでお尋ねいたします。
地方財政に関する大きな制度改正の影響が見込まれる中で、今後の財政運営にどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。

質問の第二は、支え合う地域づくりについてであります。

まず、就職氷河期世代の活躍支援についてお伺いいたします。就職氷河期世代と呼ばれる現在三十代半ばから四十代半ばの一九九〇年代前半、バブル経済崩壊後の雇用環境が厳しい時期に就職期を迎え、就職活動を行った方々は、希望する職につけず、今日においても不本意ながら、非正規雇用などの不安定な仕事についている、あるいは無業の状態にあり、中には、社会参加への機会や自信をなくし、ひきこもり状態になってしまわれた方もおられます。このままでは将来、高齢の生活困窮者の増加や、社会保障費の膨張などの問題が加速化し、深刻化することが大いに懸念されます。こうした中、政府は本年六月二十一日に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針二〇一九、いわゆる骨太の方針において、就職氷河期世代支援プログラムを盛り込み、本格的な対応に乗り出したところであります。

 このプログラムでは、全国におよそ百万人いると言われる就職氷河期世代の非正規雇用労働者や無就業者等を対象に、処遇の改善や社会参加を促す取り組みを推進することにより、今後三年間で三十万人の正規雇用化を図ることを目標としております。また、二〇二〇年度予算の概算要求においては、ハローワークにおける相談窓口の設置や、専門担当者による就職相談から職場定着までの一貫した伴走型支援、ひきこもりや生活困窮者など社会的に孤立しやすい方に積極的に手を差し伸べるアウトリーチ支援が盛り込まれるなど、厚生労働省を中心に、具体的な取り組みの検討が進められております。少子・高齢化の進行により生産年齢人口が減少し、人材不足が深刻化する中で、就職氷河期世代の方々に対して、人生の再チャレンジに向けた支援をしっかりと行い、活躍の場を設けていくことは、この世代の方々の生活を安定させることはもちろんのこと、地域の活力を高めていく上でも大変重要であると思います。本県は製造業を中心として我が国を代表する産業の集積地であり、強い産業競争力を背景とした良質な雇用環境に恵まれた地域であります。こうした本県の強みを生かし、就職氷河期世代の課題解決に向けて全国をリードしていくことも、この愛知の大きな役割であると考えております。

そこでお尋ねいたします。
就職氷河期世代の活躍支援について、県としてこの課題をどのように捉え、また、どのように対応していかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、幼児教育、保育の無償化についてお伺いいたします。
いよいよ本年十月、来月から、いよいよ幼児教育、保育の無償化が始まります。幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する三歳から五歳までの全ての子供たちの利用料、ゼロ歳から二歳までの子供たちについては、住民税非課税世帯を対象に利用料が無償化されます。
 また、認可外保育施設や一時預かり事業、病児保育事業やファミリー・サポート・センター事業など、多様な保育施設、サービスについても一定額が無償化されます。

 これにより、子育て世帯の経済的負担が大幅に軽減され、少子化の一因である子育てに係る経済的不安の解消が進むものと大いに期待しております。一方、無償化を機に潜在的な保育ニーズが喚起され、保育所への入所希望児が急増すれば、待機児童の解消が遠のくとともに、保育士不足がより深刻化する懸念もあります。さらに、認可保育所への入所を希望しても入ることができず、認可外保育施設を利用する子供たちが少なからずいることから、国の基準を満たさない認可外保育施設であっても、五年間の経過措置として、無償化の対象に認められました。このため、こうした施設を利用する子供たちの安全や保育の質をいかに確保するかが課題となっています。また、無償化の実務を担う市町村からは、かねてより準備期間が足りないとの声が上がっており、本年五月の子ども・子育て支援法改正以降、順次、国から無償化の実務的な手続に関する通知が示されました。市町村では、これらの通知を受けて、保護者や保育所等への説明や条例改正など、無償化に向けた準備をわずか数カ月間で終えることが求められており、県としてもこうした市町村の取り組みをしっかりと支援していく必要があります。無償化の円滑かつ着実な実施に向けて、これらの課題に対し、県としてぜひとも適切な対応をお願いしたいと考えております。

そこでお尋ねいたします。
幼児教育、保育の無償化が始まろうとしている今、市町村の準備は万全なのか、そして、待機児童対策を初めとした課題に対しては、県は今後どのような取り組みを進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、子育てにおける切れ目のない支援についてお伺いいたします。最近の社会環境として、少子化、核家族化の進展や、地域のつながりが希薄になっていると指摘されております。こうした状況のもと、女性は妊娠や出産という人生の大きな節目となる出来事を迎えることとなり、身近なところで赤ちゃんに接する機会を得ることなく親になることで、育児の基本的ノウハウが不足し、子育てにつまずくリスクが高まりがちです。また、大家族であった時代には、妊娠や出産に関する不安の相談相手として、また、困ったときに助けてもらう人として、里帰り分娩に代表されるように、妊産婦は実家を頼るということが当たり前のこととして考えられてきました。しかし、近年は、頼るべき親がまだ現役として就労していたり、出産年齢の上昇による親の高齢化など、実家を頼りにくい状況が生まれており、さらに、個人の生活が重視されるようになったことで、御近所が助け合い、地域全体で子供を育てるという意識が弱くなっているとも聞きます。このように、身近な支援者がいない状況においては、妊産婦の育児不安や孤立感、負担感が一層強くなり、産後鬱のおそれも高まります。

こうした中で、子供の健やかな成長のためには、母親が安心して育児に取り組めるよう、妊産婦や子供のいる家庭に対し、丁寧に寄り添った支援が求められていると考えます。
県では、福祉医療施策の羅針盤となるあいち健康福祉ビジョン二〇二〇において、子育て家庭への支援の充実を課題の一つに掲げ、地域の子育て支援を充実し、妊娠期から子育て期にわたる切れ目ない支援を行うとしています。一方、国においては、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を提供するために、保健師等の母子保健にかかわる専門職を配置し、妊娠、出産、育児に関する相談に応じ、必要な情報提供や助言、支援プランの策定等を行う子育て世代包括支援センターの二〇二〇年度末までの全国展開を目指しており、市町村において順次設置が進められている状況にあります。

そこでお尋ねいたします。
妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援のために、県としてどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。

質問の第三は、魅力ある地域づくりについてであります。

まず、SDGsの普及啓発についてお伺いいたします。SDGsとは、サステーナブル・ディベロップメント・ゴールズの略称であり、二〇一五年九月の国連サミットにおいて採択された持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダに定められた国際社会全体の持続可能な開発目標のことであります。このSDGsでは、十七のゴールと百六十九のターゲットが掲げられるとともに、地球上の誰一人として取り残さないことを理念とし、先進国、途上国を問わず国際社会全体で、経済、社会、環境にかかわる諸課題の解決に統合的に取り組もうという考え方です。国では、SDGsの理念に沿った基本的・総合的取り組みを推進しようとする都市、地域の中から、特に経済、社会、環境の三側面における新しい価値創出を通して持続可能な開発を実現するポテンシャルが高い都市、地域をSDGs未来都市として選定、支援しており、愛知県は本年七月にSDGs未来都市に選定されたところであります。

本県において世界共通の目標であるSDGsを達成するためには、県民一人一人がSDGsを認識し、SDGsのための行動を実践していくことが必要不可欠です。しかしながら、大手広告代理店が本年四月に発表した全国の十歳代から七十歳代の男女計約六千六百名を対象としたSDGsに関する生活者調査によると、SDGsの認知度は約一六%であり、本県においても普及啓発に力を入れていくことが急務であると考えます。また、二〇三〇年に向けて持続可能な社会をつくっていくためには、次代を担う子供たちにもSDGsへの理解を深めてもらうことが重要であります。一方、SDGsの普及啓発に当たっては、同じく、SDGs未来都市に選定された名古屋市、豊橋市、豊田市を初めとした県内の市町村や、企業、大学、NPO等のSDGsに取り組む団体とも連携、協力して進めていくことが大切であると考えます。

そこでお尋ねいたします。
SDGs未来都市としての選定を受け、SDGsの達成に向けて、県民への普及啓発や県内の市町村等との連携にどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。

次に、中小企業の事業承継支援についてお伺いいたします。
経営者の高齢化が進み、団塊世代の経営者の大量引退時期が到来する中、後継者難に伴う廃業の増加によって、企業が有する貴重な技術やノウハウ、雇用の喪失に加え、サプライチェーンへの影響などが懸念されており、中小企業の事業承継は喫緊の課題となっています。

中小企業庁の推計では、二〇二五年度までに平均引退年齢の七十歳を超える中小企業、小規模事業者の経営者は約二百四十五万人とされ、うち約半数の百二十七万人が後継者未定であるとし、現状を放置すると二〇二五年までの累計で約六百五十万人の雇用、約二十二兆円のGDPが失われる可能性があると試算しています。また、各地域の中小企業は、単に経済活動の主体であるにとどまらず、地域のにぎわいや活力創出の担い手としても重要な存在であるため、中小企業の減少は地域の活力が損なわれることにもなります。まさに事業承継問題の解決は、地域経済及び地域社会の持続的発展を左右するものと言えます。
こうしたことから、国は今後十年間程度を事業承継の集中実施期間と位置づけ、各都道府県に商工会、商工会議所、金融機関等の身近な支援機関で構成する事業承継ネットワークを構築して、早期、計画的な事業承継に関する経営者の気づきを促すための事業承継診断の実施、診断で掘り起こされた経営者の悩みや課題等に対して、事業承継コーディネーターや中小企業診断士などの専門家による支援を行うことにより、円滑な事業承継を推進することとしています。本県においても、平成二十九年十月に公益財団法人あいち産業振興機構とともにあいち事業承継ネットワークを立ち上げ、以降、支援機関の協力を得て、事業承継診断を当初の目標を超えて実施するなど、事業承継問題に対する取り組みが積極的に行われております。また、昨年度からは専任のコーディネーターをブロックごとに配置して、きめ細かな相談体制を整備し、経営者向けあるいは支援機関向けのセミナーを開催するほか、士業専門家と連携した個社支援にも取り組んでおり、今後、さらに支援事業の展開が期待されます。

そこでお尋ねいたします。
県はこれまでの事業承継支援を踏まえ、今後、支援を展開するに当たり、どのようなことを重視し、取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、あいちトリエンナーレ二〇一九についてお伺いいたします。

 情の時代をテーマに掲げて開催しております国際芸術祭、あいちトリエンナーレ二〇一九は、八月一日の開幕後、二カ月近くが経過しましたが、前回を上回るペースで多くの来場者にお越しいただいていると伺っております。一方で、企画展の表現の不自由展・その後がテロ予告や抗議が殺到したことなどにより、開幕わずか三日で中止となったことにつきましては、皆様方に安全・安心に楽しんでごらんいただくべき芸術祭として、まことに残念でなりません。二〇一〇年の初回以降、本県の文化芸術振興のリーディングプロジェクトとして、心豊かな県民生活と活力ある愛知の実現のための一翼を担ってきたあいちトリエンナーレでありますが、四回目となる今回、展示内容や行政のかかわり方など、さまざまな意見が寄せられる状況となっています。あいちトリエンナーレを本県のみならず、我が国を代表する国際芸術祭として継続していくためには、十分な検証を行っていただくとともに、何が必要なのかを県民の皆様に示すことが重要であると考えます。
県は先月設置した第三者委員会であるあいちトリエンナーレのあり方検証委員会からの提言や、九月二十一日開催の国内フォーラムで出された意見などを踏まえて、今後の対応を決めていくと伺っています。

そこでお尋ねいたします。
あいちトリエンナーレ二〇一九について、閉幕までの残り半月余りをどのように進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。

質問の第四は、安心な地域づくりについてであります。

まず、地域強靱化計画についてお伺いいたしますが、先月末の九州北部地方を襲った大雨や、今月の台風十五号など、各地で大きな災害が発生しています。被災された方々にお悔やみとお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興を願うところであります。今回の台風では、大規模停電や断水が発生し、公共交通機関においても大きな影響を受けるなど、改めて地域強靱化の重要性を認識したところであります。特に昨年は、大阪府北部地震、西日本豪雨災害、台風第二十一号、北海道胆振東部地震など、全国各地で大きな災害が発生し、多くの人命と財産が失われたほか、関西国際空港の閉鎖や北海道全域の電力供給が停止したブラックアウトなど、これまで経験したことのない事態が生じ、防災・減災、国土強靱化は一層重要性を増し、喫緊の課題となっています。このため、国は電力や空港、鉄道など、暮らしと経済活動を支える重要インフラが災害時にその機能を維持することができるよう、昨年十月に全国で緊急点検を実施し、十二月には、その点検結果等を踏まえ国土強靱化基本計画を見直し、エネルギーのリスク分散や気候変動の影響を踏まえた治水対策などの施策を追加することで、中長期的な視点から強靱化の取り組みを深化させています。また、短期的な取り組みについても、緊急点検結果に基づき、重要インフラを対象として、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策を取りまとめ、直ちに実施に移すことで取り組みの加速を図っています。県においても、二〇一五年八月に地震、津波を対象として愛知県地域強靱化計画を策定するとともに、翌年三月には風水害などのリスクを加えて拡充を図り、さまざまな対策を進めてきておりますが、昨年末からは国の基本計画の見直しを踏まえた作業を進めていると伺っております。一方、全国の地域強靱化計画の策定状況を見てみますと、都道府県レベルでは、四十七全ての都道府県で策定を完了しているものの、市区町村レベルでは、策定済みまたは策定中の自治体が本年九月一日現在、全国千七百四十一市区町村中二百七十三市区町村で約一五%にとどまっており、本県でも、策定済みは名古屋市、豊橋市、豊川市、田原市の四市、策定中は設楽町の一町と、全国同様、余り進んでいない状況にあります。県土全体の強靱化を図っていくには、県はもとより、県内全ての市町村が同じ方向性で取り組みを進めていくことが重要であり、そのためには県による積極的な支援のもと、各市町村における地域強靱化計画の策定を促進していくことが必要と考えます。

そこでお尋ねいたします。
このような状況を踏まえ、県として地域強靱化計画をどのように見直していかれるのか、また、市町村の地域強靱化計画策定をどのように支援していかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。

次に、民間ブロック塀等の対策についてお伺いいたします。

昨年六月に発生した大阪府北部地震では、ブロック塀や組積造の塀の倒壊により、通学途中の児童を含む二名のとうとい人命が失われました。その記憶が残る中、ちょうど一年後の本年六月十八日に山形県沖を震源とするマグニチュード六・七、新潟県村上市で震度六強、山形県鶴岡市で震度六弱を記録する地震が発生し、ブロック塀等の倒壊が報告されました。幸いにも被害に遭われた方はいませんでしたが、危険なブロック塀等の安全対策の重要性を改めて認識した次第であります。

こうした中、本県では、大阪府北部地震での被害を踏まえ、県が管理する施設や学校において、ブロック塀等の除却などの対策が進められております。一方、民間のブロック塀等については、名古屋市を初めとする特定行政庁六市を除く四十八市町村において、各市町村が設定した重点対策区域を対象に、県、市町村、建築関係団体が協力し、ブロック塀等の安全パトロールが実施されております。昨年九月に公表されたパトロール結果によれば、四千八百カ所のブロック塀等の点検を行い、基準に不適合なブロック塀等が三千二百七十五カ所、率にして実に約七割あるとのことです。これらのブロック塀等の所有者に対して注意喚起をするとともに、自己点検の実施や是正を促したとのことでありますが、重点対策区域以外にも基準に不適合な危険なブロック塀等は数多く存在しており、幅広く安全対策を促進する取り組みが望まれるところであります。また、ブロック塀等の自己点検の結果、不適合な箇所があった場合に除却や改修工事を促すためには、まずは資金面等への支援が重要なことであると考えられます。そのような状況のもと、県は今年度、市町村が指定する路線等に面する危険なブロック塀等の除却や改修工事費に対する補助制度を創設いたしました。この制度の活用により、特定行政庁六市を含む市町村のブロック塀等の安全対策がより一層進むことを期待しているところであります。

そこでお尋ねいたします。
本県では、民間のブロック塀等に対して安全パトロールの実施や補助制度の創設など、これまでさまざまな安全対策が行われておりますが、これらの取り組みがどのような状況であるのか、また、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。

次に、交通安全対策についてお伺いいたします。

テレビや新聞等で連日報道されておりますように、先月、茨城県内の常磐自動車道において、あおり運転の末に車を停止させ、運転者の男性を殴るなどした男と、それに関与した女が逮捕されました。公開された被害車両のドライブレコーダーの映像を見ますと、高速道路を蛇行したり幅寄せして、無理やり停止させ、恫喝している様子や、車からおりてきて、本線上を歩き、被害者を殴打している様子などが鮮明に映っております。後方からほかの車両が突入するなどの最悪の事態には至らなかったものの、目を疑うような悪質かつ危険きわまりない行為であり、私はその理不尽さに激しい憤りを覚えました。あおり運転は、平成二十九年六月に神奈川県内の東名高速道路で一家四人が乗車した車が本線上で停止させられ、その直後に後続車に突入されて夫婦二人がお亡くなりになるという痛ましい事故が発生したことを契機として、大きくクローズアップされました。それ以降も全国であおり運転の発生がたびたび報道されており、あれだけ大きな犠牲が出てしまったにもかかわらず、いまだこうした悪質、危険な運転をする人が後を絶たないことは残念でなりません。こうしたことを背景に、最近では、自衛策としてドライブレコーダーを購入される方が急増していると聞きます。つまり善良なドライバーは、みずからが交通事故の当事者にならないよう注意するだけでは足りず、あおり運転の被害に遭うかもしれないという不安とも常に闘っているわけであります。また、あおり運転の被害者の遺族が厳罰化等の法整備を訴えていることや、先月末には警察庁がその検討を始めたとの報道もありますが、こうした行為に対する抑止力を高めていくためには、厳罰化の必要性は極めて高いと私も感じています。いずれにいたしましても、善良なドライバーが交通事故に気をつけながら気持ちよく運転することができるよう、可能な対策を早急かつ最大限に講じていく必要があると考えます。

そこでお尋ねいたします。
全国的にあおり運転が社会問題となる中、こうした行為の抑止に向け、どのように取り組んでおられるのか、警察本部長の御所見をお伺いいたします。

質問の第五は、活力ある地域づくりについてであります。

まず、子供、若者の自立・活躍支援についてお伺いいたします。
本年五月に川崎市で発生したひきこもり傾向にあった五十代の男による無差別児童殺傷事件、六月に東京都練馬区で起きた元農林水産事務次官によるひきこもり傾向にあった四十代長男の殺害事件、これら立て続けに発生した大変悲惨な事件はいまだ記憶に新しく、いずれの事件も早期に適切な支援が受けられていれば、防ぐことができたのではないかと考えます。また、本年三月に豊田市で小学校六年生の女児二人が、七月には岐阜市で中学校三年生の男子生徒が、それぞれいじめを原因としてマンションから飛びおり自殺するなど、この地域でも子供の大変痛ましい事件が後を絶たず、こうした報道を見るたびに、私たち大人がもっと早く子供たちの悩みに気づいてあげられなかったのかと残念でなりません。子供、若者を取り巻く社会情勢が大きく変化する昨今、子供、若者をめぐる課題は、ひきこもりやいじめ、自殺のほかにも、貧困、虐待、不登校、SNS被害など多岐にわたり、大変憂慮すべき状況となっております。こうした課題に対応するためには、困難を抱える子供、若者の心に寄り添いながら、自立に向けた地域における重層的で切れ目のない支援が必要であり、そのための支援体制を早急に整備することが重要であります。一方で、未来を担う子供、若者が健やかに成長し、夢や希望を持って活躍できる社会を実現するためには、子供、若者の社会性や自主性を培いながら、社会全体で応援していくことが必要と考えます。

県では昨年、あいち子ども・若者育成計画二〇二二を策定し、子供、若者の活躍を新たな視点として盛り込み、全ての子供、若者が持てる能力を発揮し、活躍できる社会づくりに取り組んでいると伺っております。

そこでお尋ねいたします。
困難な状況を抱える子供、若者の自立に向けた支援体制の整備について、どのように取り組んでいかれるのか。また、夢や希望を持った子供、若者の活躍を後押しするため、どのような取り組みを実施していかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。

次に、魅力ある県立高等学校づくりについてお伺いいたします。

まず、県立高等学校教育推進実施計画についてお尋ねいたします。
近年、グローバル化や情報化などにより社会が急速に変化し、子供たちの進路選択に対するニーズが多様化しており、学校教育においてもこのような時代の変化やニーズを的確に捉えて、学校づくりを進めていく必要があります。こうした中、教育委員会は平成二十七年三月に策定した県立高等学校教育推進基本計画(高等学校将来ビジョン)を踏まえた第一期の県立高等学校教育推進実施計画を策定し、これにより、愛知総合工科高校や、昼間と夜間の二部制単位制定時制高校として城北つばさ高校の新設、小牧工業高校の航空産業科などの学科改編等、さまざまな取り組みが進められてきました。
 私たち公明党愛知県議員団で城北つばさ高校を訪問した際には、アルバイトの単位認定など特色ある制度を背景に、自分のペースで真剣に学習を進めており、学校から、中学のときに不登校で成績の振るわなかった生徒が一日も休まず登校し、試験でも高得点をとっているという話を聞くことができました。現在、開校三年目を迎え、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど外部人材の活用も進み、学校教育の一層の充実に尽力されていると聞いています。また、愛知総合工科高校にも訪問しました。最新の施設、設備と最先端の教育を行う、まさに本県工業高校の核となる学校でありました。
専攻科については、我が国初の公設民営化を導入した学校であり、高度な知識や実践的な技術、技能を身につけた人材を育成しており、生徒が充実した設備で力を伸ばして、現場で活躍したいと実習に臨む姿を見て、大変頼もしく思いました。

いずれの学校も、時代の変化や子供たちのニーズに対応した特色ある教育活動を展開しておりますが、近年、少子・高齢化による社会構造の変化に伴い、今まで予想してこなかった新たな課題も指摘されており、学校教育もこれらに迅速に対応していく必要があります。

そこでお尋ねいたします。
第一期県立高等学校教育推進実施計画は本年度で計画期間が終了しますが、この五年間の取り組みをどのように評価し、今後、魅力ある高等学校づくりをどのように進めていかれるのか、教育長の御所見をお伺いいたします。

最後に、貧困の連鎖の解消についてお伺いいたします。

魅力ある県立高等学校づくりが進められる一方で、県内には人間関係をうまく築くことができない、授業についていけないなどの理由で高等学校を中退した方や、中学校卒業時に将来の夢を描けずに進学や就職ができなかった方、日本語にふなれで、就学や就職に困難を抱えている外国籍の若者などが数多くいます。こうした若者は将来の展望を描くことが困難になっており、とりわけ、高校卒業資格を得られていないことは、就職やキャリアアップに不利となり、将来的な貧困を招く大きな要因になると考えられます。貧困問題の根本的な解決に向けては、将来を担う子供たちがその置かれている境遇にかかわらず、一人一人の能力、適性などに応じた教育を受けて、生きる力を身につけ、社会的、経済的に自立を果たしていくことが必要です。教育委員会では、高等学校を中退した方や、中学校卒業後の進路を決められなかった方、日本語にふなれな外国人の方などを対象とした、若者・外国人未来応援事業を平成二十九年度から実施しており、この事業は子供の貧困対策の具体的な取り組みの工程を示す子どもが輝く未来へのロードマップにおいて重点事業に位置づけられ、学習支援と相談、助言により、キャリアアップを支援するものと伺っています。

そこでお尋ねいたします。
将来的に貧困の連鎖を生じさせないために重要であると考えられるこうした取り組みを今後どのように展開していかれるのか、教育長の御所見をお伺いいたします。
以上、公明党愛知県議員団を代表いたしまして、県政各般にわたるさまざまな課題について質問してまいりました。知事初め理事者各位の明快な答弁を期待いたしまして、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

令和元年9月議会 知事答弁

公明党愛知県議員団の市川ひでお幹事長の質問にお答えをいたします。

本年十月の消費税及び地方消費税の税率の引き上げに伴い、さまざまな制度改正が予定されておりますが、これらにより来年度以降の本県の予算編成に大きな影響が生じてまいります。まず、歳入面では、地方消費税率の引き上げによる増収の一方で、地方法人課税の見直しに伴う法人県民税法人税割の税率の引き下げによる減収が見込まれます。また、歳出面では、本年十月から導入される幼児教育の無償化の影響が通年で生じるとともに、新たに県立大学や私立専門学校などを対象に、高等教育の無償化が開始されることとなります。制度の詳細を国の予算編成に委ねられた事項も多いことから、今後の国の動向を注視し、本県の歳入、歳出への影響をしっかりと見きわめるとともに、こうした制度改正の影響は、地方交付税の算定に反映される仕組みでありますので、交付税の必要な総額が確保され、地方の財政運営に支障が生じることのないよう、機会を捉えて国へ強く要請してまいります。

来年度も医療、介護などの扶助費の増加が続く一方で、円高の影響などにより法人二税収入の減収が見込まれることから、引き続き厳しい財政状況が続くものと認識しております。

このため、まずは本年度内の財源確保に取り組み、本年度当初予算で取り崩すこととした基金残高の回復に努めるとともに、行財政改革の取り組みを着実に進め、健全で持続可能な財政基盤の確立に努めてまいります。

次は、就職氷河期世代の活躍支援についてのお尋ねであります。

少子・高齢化が進行する中で、愛知県が持続的に発展していくためには、就職氷河期世代を含めた全ての人々が将来に希望を持って働き、安心して暮らしていける社会を築くことが大変重要です。本県では、これまで若者の就職支援、職業訓練やリカレント教育、ひきこもりや生活困窮者への支援、さらには二〇一六年度から就職氷河期世代を対象とした職員採用試験を実施するなど、さまざまな取り組みを行ってまいりました。こうした取り組みをより一層推進するため、七月には関係局で情報を共有し、横断的に取り組みを進める庁内の検討組織を立ち上げたところであります。また、七月の全国知事会議においてプロジェクトチームの設置を提案し、私をリーダーとして、三十三道府県の知事で構成するプロジェクトチームが設置されました。そして、八月二十七日には第一回の会議を開催し、国が責任を持って取り組むべき事項を就職氷河期世代の活躍支援に向けた提言として取りまとめ、翌二十八日に私から厚生労働省や内閣官房などに要請してまいりました。就職氷河期世代への支援は、私が国会議員であったころからの長年の課題でありますが、人生百年時代と言われる中で、一人でも多くの方が希望する職を得て活躍していただくためには、厚い産業集積と安定した雇用環境を有する本県が大きな役割を果たしていかねばならないと考えております。こうした中、九月十三日には、愛知県が就職氷河期世代の方々の就職、正社員化の取り組みを官民一体となって推進する都道府県プラットフォームを全国に先駆けてモデル的に実施する地域として、厚生労働省から選定されたところであります。こうした取り組みも有効に生かしつつ、国や市町村、企業等と連携し、就職氷河期世代に寄り添った支援に全力で取り組んでまいります。

 続いて、幼児教育、保育の無償化についてお答えいたします。

 幼児教育、保育の無償化は、子育てに係る経済的負担を軽減するものであり、子育て世代を応援する大変重要な施策であります。無償化に向けて、県といたしましては、市町村や保育関係団体への説明会を開催してきましたほか、市町村の事務費やシステム改修費への助成など、実務を担う市町村の支援に取り組んでまいりました。また、市町村では、保護者や事業者への説明や周知、保育料を規定する条例の改正や、無償化の対象となる保育施設と児童の認定など、無償化に向けて必要な準備を進めてまいりました。県といたしましては十月一日からの無償化に向け、市町村と緊密に連携を図り、万全を期しているところであります。
 次に、無償化による保育ニーズへの対応につきましては、今年度策定する愛知県子ども・子育て支援事業支援計画に無償化の影響を見込み、その上で必要となる保育施設の整備や保育士の確保を図り、待機児童の解消に取り組んでまいります。また、認可外保育施設の質の確保につきましては、今年度から新たに巡回指導や研修を実施するほか、職員を増員して指導監督体制の強化を図ったところであります。さらに十月末からは、立入調査結果を県のホームページで公表することにより指導事項の速やかな改善を促し、保育の質の確保、向上につなげてまいります。こうした取り組みを着実に進め、無償化の円滑な導入を図るとともに、安心して子供を産み育てることのできる社会の実現を目指してまいります。

 次は、子育てにおける切れ目のない支援についてであります。

 健やかな子供の成長のためには、妊産婦の方お一人お一人や、その御家族に寄り添った切れ目のない支援が不可欠です。市町村が設置する子育て世代包括支援センターは、妊娠、出産、育児に関する相談に保健師などが継続的に対応するなど、妊娠期から子育て期にわたる切れ目ない支援のための拠点であります。本県では、その設置促進と支援体制の充実に向け、未設置の市町村に対して設置を働きかけるとともに、設置済みの市町村に対しては妊娠、出産、育児に関する地域特有の課題を整理し、市町村の状況に応じた事業のあり方を検討するための会議を開催しております。また、妊産婦の方への効果的な支援のためには、市町村の保健及び児童福祉部門だけでなく、地域の医療機関などの協力が不可欠でありますことから、関係者が参画する会議を開催し、情報交換や連携を促進しております。さらに、複雑多様化する相談に適切に対応するため、保健師などの母子保健にかかわる行政の専門職や、地域の医療関係者などの資質向上を図るための研修を実施しております。こうした取り組みにより、現在、県内四十二市町において子育て世代包括支援センターが設置され、二〇二〇年度末までには全ての市町村において設置が完了する見込みとなっております。今後とも市町村と連携して、妊娠期から子育て期にわたる一人一人に寄り添った切れ目のない支援を行い、子供が健やかに成長できる日本一子育てしやすい愛知の実現を目指してまいります。

 次に、SDGsの普及啓発や県内の市町村等との連携について御質問をいただきました。

 SDGsは経済、社会、環境の国際的な目標であり、その内容は技術革新やまちづくり、飢餓や気候変動など多岐にわたっています。本県がSDGs未来都市としてSDGsを達成するためには、県民の皆様一人一人がSDGsへの理解を深め、SDGsを意識した行動を実践していただくことが重要です。このため、本県ではSDGsの認知度向上に向け、SDGsや未来都市計画のパンフレット等を作成して広く情報発信を行うとともに、SDGsを具体的に解説するセミナーや、SDGsを楽しみながら学ぶワークショップを開催したいと考えております。また、環境面からのSDGsの普及啓発と担い手育成のため、生物多様性を初めとする環境保全に積極的に取り組む企業、大学、NPOなどと連携したセミナーを開催してまいりたいと考えております。さらに、本県と同様にSDGs未来都市に選定された名古屋市、豊橋市、豊田市と連携した普及啓発イベントの開催や相互のPRを行うとともに、市町村職員向け研修会の開催などにより、県内の市町村へSDGsの取り組みを働きかけていくことも考えております。今後とも、国や市町村、企業や関係団体、大学やNPOなどと連携、協力し、大人はもとより次代を担う子供たちを含めたあらゆる方々を対象に、その年齢や関心の度合いなどに応じた学びの機会を提供することにより、SDGsの普及啓発に全庁を挙げて取り組んでまいります。

 続いて、中小企業の事業承継支援についてお答えいたします。

 経営者の高齢化が年々進み、今後、多くの中小企業が事業承継のタイミングを迎えます。本県が今後も産業競争力を維持、強化していくには、事業承継をスムーズに進めることが重要な課題であります。本県では、二〇一七年十月のあいち事業承継ネットワークの立ち上げ以降、商工会議所の経営指導員などが経営者と相対して事業承継の気づきを促す事業承継診断をこれまでに約一万一千件実施したほか、専任の事業承継コーディネーター等を設置して各種セミナーの開催、士業専門家と連携した個社支援等に取り組んでまいりました。

 今後はこうした事業承継の気づきを与える取り組みに加え、事業者が個々に抱える経営課題への対応といった踏み込んだ支援が円滑な事業承継を進める上でますます重要になります。そこで、個々の経営課題の解決に向け、士業団体の協力を得て、中小企業診断士や税理士、公認会計士等の知見やノウハウを十分に活用した専門家の派遣を伴う個社支援により一層力を入れてまいります。加えて、商工会、商工会議所、金融機関等の支援機関に対して事業承継に関する専門的な知識やスキルの向上を目的とした研修会やセミナーを開催することにより、個社支援に適応できる人材の育成も行ってまいります。こうした取り組みを通して、円滑な事業承継を地域全体で着実に進めていきたいと考えております。

 次は、あいちトリエンナーレ二〇一九についてであります。

 これまでの経緯等につきましては、九月二十日の提案理由説明におきまして述べさせていただいたところでありますが、九月二十一日に開催されました表現の自由に関する国内フォーラムでは、出展の作家さんや県民の皆様からさまざまな御意見をいただき、また、昨日、二十五日に開催されました第三回のあいちトリエンナーレのあり方検証委員会におきましては、私に対しまして、事実関係を丹念に検証、整理し、中間報告をいただいたところであります。そのまとめによりますと、展示作品を見ていない人がSNS上の断片画像を見て電凸攻撃に及んだこと、二次的影響として、海外作家等は検閲と批判、今後のあいちトリエンナーレのみならず、国内の芸術祭、国公立美術館への海外作家の出品拒否を誘発しかねないリスクがあるとの現状認識がされた上で、芸術祭全体としては今のところ、この不自由展問題を除けば成功しているとされております。それは、これまでに入場者数が約四十万人と前回を約二割上回る、現代的で時代性を帯びた企画作品が多く、各方面から高評価を得ているとされました。不自由展の企画と展示の妥当性については、次のとおり報告されました。

過去に禁止となった作品を手がかりに、表現の自由や世の中の息苦しさについて考えるという着眼は今回のあいちトリエンナーレの趣旨に沿ったものである。しかし、でき上がった展示は鑑賞者に対して主催者の趣旨を効果的、適切に伝えるものだったとは言いがたく、キュレーション見せ方、展示実施ですが、に多くの欠陥があった。特に強く批判を浴びた三つの作品はいずれも作者の制作意図等に照らすと展示すること自体に問題はない作品だったが、作品の制作の背景や内容の説明不足などや展示の場所、展示方法が不適切、すなわちキュレーションに失敗し、またSNS写真投稿禁止の注意書きを無視する来場者が続出したため来場していない人たちから強い拒絶反応と抗議を受けた。混乱を防ぐために入り口にSNS写真投稿禁止と表示したが、それでネット上の流布を抑止できるという想定は、そもそも非現実的だったし、それでも徹底して禁止するという仕組みを考えなかったなど、総じてSNSによる拡散を抑止しようとする意欲と決意が希薄だった。予算不足と準備の時間の不足が重なり、シンポジウム等の事前のエデュケーションプログラムが企画されなかった。また、展示をガイドツアーで行う等の工夫を考える時間的余裕もなかった。展示された二十三作品の過半が実は二〇一五年の不自由展に出されなかったものだった。それにも関わらず芸術監督は不自由展実行委員会に展覧会内展覧会の形式で展覧会の開催を業務委託したが、他の方式を事前に検討しなかった。また、準備プロセスの問題として、誤解を招く展示が混乱と被害をもたらした最大の原因は、無理があり、混乱が生じることを予見しながら展示を強行した芸術監督の行為にある。

そしてその背景にはそれを許す組織体制上の数多くの欠陥があった。芸術監督の不適切な判断や行動に起因する今回のようなリスクを回避、軽減する仕組み、ガバナンスがあいちトリエンナーレ実行委員会及び県庁に用意されていなかった。不自由展は不自由展実行委員会との協議を経て開催三日を経て中止された。なお、これは脅迫や電凸等の差し迫った危険のもとの判断でありやむを得ないものであり、表現の自由、憲法第二十一条の不当な制限には当たらない。と整理しています。その上で、展示の再開に向けては、条件が整い次第、速やかに再開すべきである。脅迫や電凸等のリスク回避策を十分に講じること。展示方法や解説プログラムの改善、追加、さまざまな背景を説明した上でガイドツアー方式で鑑賞をいただく、など。写真撮影とSNSによる拡散を防ぐルールを徹底する。なお、特に海外作家へのコミュニケーションのやり方に留意すべきである。一部の海外作家はこれまでの海外事例に照らし、今回の中止判断がテロ対策や安全管理を表面上の理由とする実質的検閲と認識。県民及び出展作家への徹底した情報公開と意見聴取を続けるべきである。今回の事案は来場者や県民よりも来場していない人たちがネット上の断片映像や誤った情報に接して混乱を招き、また、県民に不安を与えた。

また、出展作家に対しても、中止の連絡や説明等が遅れ、また不十分であった。再開に向けては、県民及び作家から広く賛否両論を聴取し、それを公開し、双方が反対の考え方を持つ人々の意見をよく聞くべきである。さらに、次回以降のトリエンナーレに向けて、運営体制を抜本的に見直すべきである。あいちトリエンナーレの場合、県庁が中心とならざるを得ないが公金を使う難しさを解決する方法として例えばアーツカウンシル第三者委員会というものでありますが、アーツカウンシルを設けるべきである。などの御提言をいただきました。これらの御提言を真摯に受けとめ、早速、本日からトリエンナーレのあり方検証委員会をあり方検討委員会へと改組し、再開を目指してその具体的な条件について検討し、整理していただきたいと存じます。そして、それを踏まえて、表現の不自由展実行委員会及びその関係者、作家、アーティストの皆さんとしっかりと協議、話し合いを進め、我々として最善を尽くしてまいりたいと考えております。

また、検討委員会には十月以降、次のトリエンナーレの体制等についても検討し、適切な提言をいただきたいと存じます。そして、十月五日、六日には国際フォーラム情の時代における表現の自由と芸術を開催し、表現の自由に関する新しいルールを模索し、できれば世界の人々に対して、表現の自由を守るためのあいち宣言(あいちプロトコル)を提案したいと考えております。いずれにしましても、十月十四日までの残りの会期を最後まで多くの方々に最先端の芸術作品を楽しんでいただけるよう、安全・安心な運営に全力で取り組んでまいります。

 次に、地域強靱化計画についてのお尋ねであります。

 強靱化の取り組みは、災害から得られた知見や社会情勢の変化などを反映し、不断の見直しを行っていくことが重要であり、本県においても国の重要インフラの緊急点検結果や基本計画の変更を踏まえ、災害のリスクに即して脆弱性の再評価を進めているところです。
 今後はこの結果をもとに河川・海岸堤防や道路、電力、ガスなどの重要インフラのさらなる強化、広域的な防災拠点の整備、防災教育や人材育成の充実など、県民の命を守り、社会機能と産業を維持していくために必要な施策を盛り込んでまいります。さらに、国の三か年緊急対策を踏まえ、中長期的な視点から数値目標を見直すなど、強靱化施策の充実と加速を図り、本年度内の完了を目標に見直しを進めてまいります。加えて、県土全体の被害を最小限にとどめ、県土の強靱化を実効あるものとするためには、国や県はもとより、各地域の強靱化を担う市町村における取り組みも不可欠であります。県としても、私が本部長を務める全庁的な愛知県地域強靱化推進本部のもとに新たな支援体制を設け、それぞれの地域が直面する災害リスクの解消に必要な施策情報を提供するなど、市町村における地域計画の策定を促進してまいります。今後も県として強靱化施策を着実に推進するとともに、県内市町村の取り組みを牽引することで、県土全体の強靱化に向け、総力を挙げてしっかりと取り組んでまいります。

続いて民間ブロック塀等の対策についてであります。

 本県では、昨年の大阪府北部地震後に、特定行政庁六市を除く四十八市町村と連携して、市町村が定めた重点対策区域を対象に安全点検パトロールを実施いたしました。このパトロールにおいて点検した四千八百カ所のうち約七割の三千二百七十五カ所で不適合と判定され、市町村により対策の進み方に差があるものの、本年八月末までには四十八市町村の合計二百四十七カ所において、除却等の対策が行われたところであります。県といたしましては、より一層の対策が進むよう、成果を上げている戸別訪問などの実施について、さらに市町村に働きかけてまいります。また、民間ブロック塀等の対策を促進していくためには、資金面の支援も重要であります。大阪府北部地震前の二十二市町から新たに二十八の市町村で補助制度が創設され、現在、五十の市町村でブロック塀等に対する補助が実施されております。こうした中で、本県では、危険なブロック塀等の対策に取り組む市町村を支援するため、今年度から民間ブロック塀等除却費補助金を創設いたしました。八月末現在で五百二十三件、総延長約九キロメートルに対して補助を行っており、着実に民間ブロック塀等の対策を進めているところでございます。今後も引き続き危険なブロック塀等の除却などを促すとともに、相談窓口や資金面の支援等により、市町村や建築関係団体と連携して、民間ブロック塀等の安全対策にしっかりと取り組んでまいります。そして、私から最後の答弁となりますが、子供、若者の自立、活躍についてお答えをいたします。本県では、昨年八月にあいち子ども・若者育成計画二〇二二を策定し、子供、若者が健やかに成長し、それぞれ自立、活躍できる社会を目指してを基本理念に、さまざまな取り組みを行っております。

 中でも、困難な状況を抱える子供、若者の自立に向けた支援につきましては、関係機関が連携し、継続的な支援を行うことが必要であることから、教育、福祉、雇用等のさまざまな分野の公的機関や団体等がネットワークを形成し、効果的な支援を行う子ども・若者支援地域協議会の市町村への設置を促し、現在、十六の市町に設置いただいております。

 引き続き、協議会の立ち上げプロセスや運営のポイント等について学ぶ研修会や会議を開催することによりさらに多くの市町村に設置していただき、子供、若者に寄り添った支援体制を整備してまいります。また、夢や希望を持った子供、若者の活躍を後押しする取り組みといたしましては、今年度新たに、高校生が社会問題等について意見交換する、未来をつくるユース会議を七月に名古屋と豊橋で開催いたしました。会議で取りまとめた提言は、十二月に開催する子ども・若者育成支援タウンミーティングにおいて、高校生の代表から発表をしていただきます。タウンミーティングでは、実際に困難を乗り越えて活躍されている著名人をお招きし、子供、若者への応援メッセージを届けていただくとともに、提言を発表した高校生も参加して、パネルディスカッションを実施することといたしております。

 今後も、愛知の未来をつくる子供、若者が夢や希望を持って前進することができるよう、しっかりと取り組んでまいります。

 以上、市川ひでお幹事長の御質問に対して御答弁申し上げました。

平成30年9月議会 一般質問

1 県管理道路の路面下空洞調査について議会一般質問平成28年11月、JR博多駅前で発生いたしました、地下鉄工事によります大規模な道路陥没事故、これを契機に道路陥没の危険性が、報道などにより多く取り上げられるようになりました。

しかし、様々道路陥没事故は起きております。国土交通省の調査によりますと、全国の道路陥没は年間約1万件発生しており、その中でも、老朽化した下水道管に起因する陥没が年間約4千件も発生しているとのことです。

本県の管理道路では、従来から実施しているパトロールカーによります定期点検、すべての管理道路を週1回以上の頻度で路面の状況を点検していると伺っており、加えて、道路緊急ダイヤル♯9910などを通じて道路利用者から情報提供を頂きながら、早急の陥没等の路面異常(いじょう)の発見、迅速な補修(ほしゅう)に努めていると聞いております。

私は、平成29年2月の議会におきまして、この「路面下(した)空洞調査」の実施について当局の考えを伺ったところ、調査を進めていくという回答でありました。この「路面下(した)空洞調査」は、道路の路面下(した)という見えない場所を調査するものですが、現況(げんきょう)交通への影響を考えますと、いたずらに掘り起こして空洞を調査することは非常に困難であります。そのため、レーダー等(とう)の新しい技術を使い調査しているのが全国の一般的な調査となっていると伺っております。

そこでお伺い致します。
本県では、昨年度(さくねんど)より路面下(した)空洞調査に着手したとのことですが、その結果、どうであったか、また、この調査は、高度な技術とノウハウを持って進めるべきだと考えますが、今年度の調査については、どのような方針で進められるのか、お伺い致します。

1、(建設部長答弁要旨)
県管理道路の路面下空洞調査についてのお尋ねのうち、まず、昨年度の調査結果についてであります。本県では、道路の陥没事故を未然に防ぐことを目的として、昨年度より、路面下空洞調査を試行しております。調査対象としては、道路陥没が急増するといわれる、下水道管を布設した後30年が経過した道路のうち、緊急輸送道路であり、かつ、交通量が1日1万台以上である区間、約180キロメートルとし、3箇年で調査を行うこととしております。

昨年度は、このうち豊橋市、一宮市、岡崎市の3市において、道路延長約75キロメートルの調査を実施しました。調査は、まず、予備調査として、地中レーダーを搭載した探査車を走行させ、収集したデータを解析することにより、「空洞」と思われる箇所の概ねの大きさと深さを把握しました。次に、その中から、道路の陥没につながる可能性が高いとされる、「広がりが大きく、かつ、路面から浅い」72箇所について、交通規制を行い、路面に開けた穴から小型カメラを挿入するなどの詳細調査を順次行うこととしました。

昨年度は、そのうち52箇所について調査を実施し、その結果、補修が必要な「空洞」を35箇所、将来空洞になる恐れのある「地盤のゆるみ」を11箇所、把握しました。それ以外の6箇所については、古い埋設管などで、陥没につながるものではありませんでした。なお、35箇所の「空洞」につきましては、現在、補修を進めており、11箇所の「地盤のゆるみ」につきましては、経過を観察してまいります。

次に、今年度の調査の方針についてであります。
交通規制を伴う詳細調査は、費用の面だけでなく、道路を利用される皆様へご迷惑をおかけすることから、予備調査段階で、いかに正確に「空洞」や「地盤のゆるみ」を把握できるかが、重要となります。路面下空洞調査の分野では、日々技術革新が進められていることを踏まえ、今年度は、企業の技術力をより的確に審査する手法を採用することで、予備調査の精度をさらに向上させ、効率的な調査を実施してまいります。

2、来日外国人の犯罪について現在本県では、平成28年度から平成32年度までの5年間を計画期間とする「あいち観光戦略」に基(もと)づいて、来年2019年に豊田スタジアム等で開催予定のラグビーワールドカップ2019日本大会を通じた、外国人観光客の誘致に力を入れられているところであります。

東京2020(にぜろにぜろ)オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を好機(こうき)としてオリンピックイヤーまでに4000万人の訪日外国人旅行者を目指し、主にアジアの方々の入国ビザの緩和(かんわ)など、各施策(しさく)が推進されているところであります。

一方、産業の国際競争力(きょうそうりょく)の強化や日本経済の発展、また、人口減少の少子・高齢化に伴う労働者不足問題への対策として、外国人労働者の受け入れが話題となるようになりました。医療、福祉、運輸、建設業などを中心とした非製造業では、慢性的に求人が増加しており、製造業の新規求人数も2016年後半以降、鉱工業生産の緩やかな上昇を背景に増加しております。

大村知事は、先の本議会提案説明の中で、「新たな在留資格の創設に伴う外国人材の受け入れは、多くの外国人が、生活者として、広く全国に定着(ていちゃく)していくということであり、地域の社会経済に、想像を越える非常に大きなインパクトを与えることになります。」とおっしゃられました。私も全く同感であります。

本県を調べてみますと、平成20年末では、約22万8000人、24年末では約19万6000人と3万人ほど減少しますが、平成29年末には、過去最高の約24万3000人と外国人誘致が増加しております。都道府県別に見ても、東京に続いて全国第2位の数値となっています。外国人観光客の誘致(ゆうち)の推進におきましても、人手不足の解消におきましても、愛知県が外国人の方々に魅力ある県として、大いに来ていただき、定住していただかなくてはなりません。

しかし、一方で、どうしても避けて通れないのが、治安の悪化という問題です。国際犯罪組織が日本へ浸透する恐れがあることや、犯罪も地下銀行、偽装結婚など様々であり、その手口も巧妙化しつつあると聞いております。日本人、外国人にかかわらず、本県で生活する方や観光で来られる方、全ての方にとって、安心な地域づくりを進めていく必要があります。この点、治安はどのような情勢になっているのかお伺いしたいと存じます。

最近の外国人検挙数は、増加傾向にあると思われますが、検挙された外国人の内訳、また、犯罪傾向はどうなっているのか、現状を踏まえ、取り組みの対策についてもお伺い致します。

2、(警察本部長答弁要旨)
最近の外国人の検挙人員等及び取り組んでいる対策についてお答えいたします。平成29年中の愛知県における来日外国人の検挙人員は1,139人と、平成24年の777人と比較して、この5年間に約47%増加いたしております。

平成29年中の検挙人員を国籍別に見てみますと、ベトナムが333人、中国が218人、ブラジルが168人、フィリピンが130人となっており、上位4か国で全体の約75%を占めております。中でもベトナムは、一昨年、中国を抜いて最多となっており、平成24年中の検挙人員と比較いたしますと、5年間で約3倍に急増しております。

来日外国人の検挙人員を罪種別に見てみますと、窃盗犯と出入国管理及び難民認定法違反が検挙人員全体の約54%を占めており、最近ではクレジットカードや身分証の偽造、違法薬物に関連した事件、さらに殺人等の凶悪事件も発生しております。

来日外国人に対する対策といたしましては、その多くが不法滞在者であることに着目し、身分証の偽造・密売事件や、彼らに対して、住む場所や働く場所等を提供する犯罪インフラ組織の摘発を進めるなど、取締りを徹底し、犯罪を犯す外国人が定着や活動しにくい環境をつくってまいります。

3、病児・病後児保育について<我が国の総人口は、平成29年に、1億2、671万人となり、8年連続で前年を下回る状況にあります。平成28年の出生者数は、97万6、978人となり、明治32年の統計開始以来、初めて100万人を割り込みました。また、一人の女性が、一生のうちに産む子どもの数を推定する「合計特殊出生率」も、平成17年に過去最低の1.26を記録致しました。

一方、女性の社会進出は一段と活発になり、女性の就業率も上昇傾向にあります。特に、20歳代から30歳代にかけて、出産や子育ての時期にある女性の就業率は、総務省の「平成29年就業構造基本調査」によりますと、25歳から39歳の女性のうち、働く人の割合は、75.7%と過去最高を更新し、今後も、この傾向は続くものと思われます。こうした子育て世代の女性の就業率上昇により、当然のことながら、保育園等に対するニーズも大幅に上昇しております。

本県の保育所等への入所申込数は、子ども・子育て支援新制度が始まりました、平成27年4月時点で、約14万6千人でありましたが、本年4月には、約15万6千人に達し、この3年間で、実に約1万人も増加致しました。今後も、女性の就業率の上昇により、更なる保育ニーズの増大が想定されますことから、保育所等への入園希望者全てが入園でき、待機児童を出さないように、増大する保育ニーズに的確に対応した、保育の受け皿整備を着実に進めていく必要があります。

我々、公明党は、代表質問においても犬飼議員から、全国で「100万人訪問・調査」運動として、本年4月から6月までの3ヶ月間にわたり、「子育て」、「介護」、「中小企業」、「防災・減災」の4つのテーマについて、有権者の方々のご自宅や企業を訪問し、直接、お話を伺いながら、アンケート調査を実施した旨、話しがありましたが、その中で、働きながら子どもを安心して、産み、育てることのできる社会を実現するためには、経済的な支援、保育の受け皿整備による待機児童解消だけでなく、病児・病後児保育や休日保育、夜間保育など、多様な保育サービスの充実が必要であるといった声も数多くいただきました。

私の地元である春日井市では、現在、診療所に併設された病児・病後児保育施設が3ヶ所ありますが、人口30万人を越える規模の割には、少ないのではないかと感じています。どこに住んでいても、手軽に利用できるよう、病児・病後児保育施設の更なる整備促進が必要であります。

そこで、病児・病後児保育の拡充に向けて、県として今後どのように取り組んでいくのか、お伺い致します。

3、(健康福祉部長答弁要旨)
病児・病後児保育における今後の取組についてお答えいたします。病児・病後児保育事業は、病気のため保育所や小学校へ行くことのできない子どもを、病院や診療所等に付設された専用施設において、一時的に預かる事業であり、働きながら子育てをする保護者の方々にとっては、無くてはならない子育て支援事業であります。

県といたしましては、「あいち はぐみんプラン 2015-2019」に具体的な設置目標を定めるとともに、市町村に対して、施設整備費や運営費の一部を支援することにより、病児・病後児保育施設の計画的な整備を推進してまいりました。その結果、県内の病児・病後児保育施設数は、計画策定時の平成26年度に60箇所でありましたが、順次、整備が進められ、本年4月1日には、長久手市と飛島村に新たに1箇所ずつ開設され、86箇所となりました。

更に、今年度内には、名古屋市熱田区と蟹江町に1箇所ずつ整備される予定であるため、88箇所まで設置が進み、「はぐみんプラン」に掲げている86箇所の設置目標を上回る見込みであります。しかしながら、提携医療機関の確保や、保育士、看護師等の人材確保が困難などの理由により、1箇所も設置されていない市町村が9市町村ございます。

このため、県といたしましては、近隣市町村による共同設置や広域利用の調整などについて、市町村の保育主管課長会議や、地域ごとの保育課題を検討する地域別市町村担当者会議などにおきまして、引き続き、働きかけを行ってまいります。また、既に病児・病後児保育施設が設置されている市町村につきましても、更なる整備や施設間の相互利用を促してまいります。

こうした取組により、県内のどこに住んでいても、病児・病後児保育を利用できるよう、環境整備に努めてまいります。

平成29年9月議会 一般質問

1 財政運営について議会一般質問(1)県税収入の見通しについて
内閣府が発表した8月の地域経済動向によると、東海地域の景況判断は「緩やかな回復基調が続いている」となっている。しかし、通期の業績見通しは、慎重な見方をする企業もあることから、若干の減益見込となっている。
最近の東海地域の景気動向を踏まえ、今年度の県税収入についての見通しを質問しました。

(2)今後の財政運営について
本県では、医療・介護等からなる扶助費の増加が続いており、この流れは継続していくものと考えられる。さらに本年度当初予算では、法人二税収入が大幅に落ち込み、本県財政は、従来にも増して厳しい局面に立たされている。こうした中にあっても、着実に施策を進めるとともに、地域経済の緩やかな回復基調を、より確かなものとするための景気・雇用対策にも、適時適切に取り組む必要がある。そして、健全かつ安定的な財政基盤の確立のためには県財政の収入減への備えが必要不可欠であり、年度間の財源調整手段として、基金が重要な役割を果たしている。
ところが、国は、地方の基金残高全体が増加していることを取り上げて、地方財政に余裕が生じているのではないかといった議論が浮上しており、大変懸念している。
地方の基金を巡る国の議論の動向も踏まえ、今後の財政運営の取り組みについて質問しました。

2 支え合う地域づくりについて(1)第7期高齢者健康福祉計画の策定について
県では、「第7期愛知県高齢者健康福祉計画」の策定作業を進めている。平成30年度から32年度までの3年間を計画期間とする第7期愛知県高齢者健康福祉計画は、団塊の世代が75歳以上となる平成37年を見据え、重要なものとなると考える。今年度策定する第7期愛知県高齢者健康福祉計画において、介護が必要となった高齢者が安心して生活ができるように、どのような点に重点を置き策定するのかについて質問しました。

(2)次期障害福祉計画の策定について
県民が障害の有無に関わらず、相互に人格と個性を尊重し共生する地域社会の実現に向け、県では、地域で適切な障害福祉サービスを提供できる体制の整備に取り組んでいる。一方で、障害への理解を促進することにも積極的に取り組んでいる。県では、来年度からの「第5期障害福祉計画」の策定を進めており、障害福祉に関する施策が引き続き充実していくことを期待している。今年度策定する第5期障害福祉計画において、障害者支援の一層の推進に向け、どのような内容を盛り込むのかについて質問しました。

(3)子どもの貧困対策について
県が発表した「愛知子ども調査」の分析結果では、子どもの貧困を明らかにし、子どもの生活実態や子育て支援のニーズ、経済的な要因が及ぼす影響を「見える化」することができ、意義のある調査であった。貧困世帯にある子どもは、「人とのつながり」が奪われていることが分かり、子どもたちに対して、「人とのつながり」が得られる支援が重要であると考える。貧困世帯の子どもたちが健やかに成長するためには、子どもを見守り支える、子ども食堂のような取組が効果的であると考えるが、県としてどう取り組むのかについて質問しました。

さらに、「愛知子ども調査」の分析結果では、支援が必要と思われる家庭ほど、支援制度が認知されていないことが明らかになった。この結果を踏まえ、支援を必要とする人に支援機関や支援制度などの情報を確実に届ける仕組みづくりが必要である。県では、貧困世帯の子どもや保護者に対する支援体制の充実をどのように図るのかについて質問しました。

3 魅力ある地域づくりについて(1)若年女性の東京圏への転出対策について
県は、平成27年に「人口ビジョン」、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、様々な施策に取り組んでいる。本県の人口は増加を続け、本年8月時点、752万5千人となっている。人口増加の大きな要因は人口移動による「社会増」であり、転入超過となっているが、「東京圏」に対しては転出超過の状況が続いている。中でも、20歳から24歳までの女性の東京圏への転出超過数は拡大している。その結果、本県の人口構成は、若年層において、男性人口の比率が極めて高く、アンバランスな状況になっている。若年女性の東京圏への転出超過に歯止めをかけ、女性人口の確保を図っていくことは、愛知の地方創生にとって大きな課題と考える。若年女性の東京圏への転出超過の問題について、現状やその要因をどう認識し、この問題にどのように対応していくのかについて質問しました。

(2)あいち航空ミュージアムについて
11月30日に「あいち航空ミュージアム」がオープンする。このミュージアムは、「航空機産業の情報発信」、「航空機産業をベースとした産業観光の強化」、「次代の航空機産業を担う人材育成の推進」をコンセプトに、さまざまな展示コンテンツが用意されると伺っている。ミュージアムのオープンを多くの県民が楽しみにしている。一方で、名古屋空港の周辺道路は慢性的に混雑しており、さらにミュージアムの来場者も加えると、混雑に拍車がかかることが予想される。また来たいミュージアムにするためには、展示内容だけでなく、周辺環境、特に混雑対策をしっかり行うことも必要である。ミュージアムのオープンまで残り2ヶ月となったが、まず、展示内容の整備、対外的なPRをどう行うのかについて質問しました。
また、ミュージアムのオープンに伴う周辺道路の混雑対策について質問しました。

4 安心な地域づくりについて(1)災害対策拠点となる庁舎の非常用電源の確保について
県では、南海トラフ地震などの大規模地震発生時に災害対策が適切に実施できるよう、「あいち地震対策アクションプラン」を策定し、様々な対策がとられている。また、国が策定した「防災基本計画」では、業務継続の観点から電力を確保することが示され、さらに「大規模災害発生時における地方公共団体の業務継続の手引き」で、「72時間」は、非常用発電機の稼動を可能とする措置が必要とされている。こうしたことから、72時間の期間において、必要な電力を供給できる非常用電源を整備し、災害時の電力を確保しておくことが重要である。県では災害対策拠点となる庁舎の非常用電源の確保について、どのように取り組むのかについして質問しました。

(2)特定外来生物ヒアリ対策について
南米原産の外来種のヒアリは、6月30日に名古屋港の鍋田ふ頭コンテナターミナルで、7月10日には、国内で初となる内陸部の春日井市内の倉庫において確認がされた。そこで、公明党愛知県議員団は、翌11日に、大村知事に対して、迅速かつ的確な対策を行うよう「緊急要望」を行った。ヒアリは攻撃性が強く、場合によってはアナフィラキシー・ショックを起こす可能性もあり、県民は大きな不安を抱えている。世界的にみるとヒアリは環太平洋諸国に急速に分布を拡大しており、各国でヒアリ対策が実施されているが、根絶に成功したニュージーランドは、初期の段階で徹底した駆除を実施することで、定着を防ぐことができたことから、早期発見・早期防除に取り組んでいくことが極めて重要だと考える。そのためには、国、県、名古屋港管理組合を始め関係者がしっかりと連携してヒアリ対策に取り組んでいく必要がある。また、県民に正しい知識や情報を提供し、ヒアリの疑いがある個体を見つけた場合には、県に速やかに報告してもらうことも必要である。
ヒアリ対策にどのように取り組んでいくのかについて質問しました。

(3)交通死亡事故抑止対策について
県内の交通事故死者数は、今年も全国ワースト1位となっている。過去の交通死亡事故の発生状況を調べてみると、年末に向けて増加傾向となっている。こうした中、知事は、今月8日に交通死亡事故抑止に向けた交通安全メッセージを発信した。交通死亡事故の多発する年末に向けて、時宜を得た取組である。悲惨な交通死亡事故の抑止に向け、さらなる取組をお願いする。また、交通事故が起きにくい道路交通環境づくりを進めることも重要である。
例年、年末に向けて交通死亡事故が多発する中、交通死亡事故を抑止するためにどのような取組を行うのかについて警察本部長に質問しました。

5 活力ある地域づくりについて(1)名古屋港の物流機能強化につながる広域幹線道路網の整備について
この地域最大の物流拠点として、モノづくり愛知を支えているのは「名古屋港」である。そうした中、名古屋港周辺の道路の現状は、国道302号は慢性的に渋滞しており、西知多産業道路ではピーク時に渋滞が発生するなど、物流活動が阻害される状況となっている。このため、公明党愛知県議員団としては、本年7月に自民党愛知県議員団とともに、国土交通大臣に「成長力・強靱化を加速し、生産性向上に資する道路」の整備推進を強く要望した。本県が日本経済をリードしていくためには、名古屋港の物流機能の強化、とりわけ広域幹線道路網の整備が重要と考える。名古屋港の物流機能強化につながる広域幹線道路網の整備を、今後どのように進めるのかについて質問しました。

(2)中小企業の海外展開支援について
国際通貨基金の発表では、アジアの国や地域における本年の経済成長率は、全世界の中で最も高い6.5%と予測されている。そのため、これからもアジアの活力を積極的に本県に取り込む必要がある。本県企業の海外進出動向については、平成28年12月末現在で、県内企業790社・4,243拠点が海外に進出しており、その内アジアの拠点増加数は712と約75%を占めている。県内中小企業にとって、海外ビジネスに関する課題は、多様化かつ複雑化しており、一層の支援体制の充実・強化が求められている。県内中小企業の海外展開支援について、今後、どのように取り組んでいくのかについて質問しました。

(3)多文化共生社会づくりについて
平成元年の「出入国管理及び難民認定法」の改正により、就労を目的とした多くの日系の人々が来日した。本県では、日系ブラジル人を始めとする南米出身者が多数就労され、日本社会への適応が大きな課題となったことから、県は、平成20年に、「あいち多文化共生推進プラン」を策定し、様々な施策を実施してきた。最近の状況を見ると、外国人県民は増加傾向にあり、昨年末現在で、東京都に次いで2番目に多い22万人余りとなっている。国籍は、多国籍化が進んでおり、外国人県民の約4割の人が「永住者」資格を取得している。これは、生活の基盤を日本に置く方が着実に増えている。こうした永住化に伴って、外国人県民の生活上の課題は、ライフサイクル全般に渡るようになってきている。特に、日本で生まれ育っている子どもが増えてきており、次代を担う子どもたちへの対策が、地域社会にとっても重要になってきていると考える。このため、「あいち多文化共生推進プラン」の改定において必要とされる施策を盛り込んでほしい。多文化共生社会づくりをさらに進めるため、「あいち多文化共生推進プラン」の改定にあたっての知事の所見につき質問しました。

(4)多様な学びを保障する教育施策について
本県の児童生徒の状況を見ると不登校の児童生徒は、小学校では全国4番目に高く、中学校では全国5番目に高い状況にある。また、高校における中退率は1%と、全国平均に比べて低く、減少傾向にあるが、公立私立合わせて年間で約2,000人の生徒が中退している。さらに、日本語指導が必要な外国籍の児童生徒が非常に多く在籍し、全国で最も多い県でもある。こうした不登校、中退などの様々な事情を抱える児童生徒の多くは高校卒業の資格が必要だという認識は持っているが、子どもたちの思いに応える支援体制は、十分とは言えない状況があると考えている。子どもたちが、いつからでも学び直しができ、夢や希望をもって、社会的自立をめざすことのできるような、多様な学びを保障する教育施策をどのように進めていかれるのか、教育長の所見につき質問しました。

平成28年9月議会 一般質問

質問1、女性の活躍推進についてお伺いいたします。

一般質問1 厚生労働省が毎年発表する「働く女性の実情」の報告書によれば、雇用による就労や自ら事業を行うなど、就業する女性の数は、「男女雇用機会均等法」が制定された昭和60年以降、この30年間で425万人増加しております。就業者全体に占める割合は40.0%から43.0%と、3%上昇し、緩やかながら増加傾向が続いてまいりました。その一方で、企業の管理職に占める女性の割合は、11.3%にとどまり、アメリカの43.7%、スウェーデンの37.1%に遠く及びません。また、自ら事業を営む女性は働く女性全体の約5%と、男性の約11%の半分以下の水準にとどまり、依然として、経済社会活動における女性の活躍が、まだまだ限定的なものとなっていることが伺われます。

私は、今後、少子高齢化がますます進み、生産年齢人口の減少が懸念される中で、こうした状況が続くこととなれば、産業を支える「人材力」が質・量の両面で伸び悩み、地域の発展の足かせになるのではないかとの危惧を抱いております。国においては、本年4月、大企業に女性の活躍に関する計画の策定・公表・実施を義務付ける「女性活躍推進法」を施行するとともに、先月閣議決定した「未来への投資を実現する経済対策」においても、女性活躍の推進を重要施策に位置付け、創業支援の強化、理工系分野における参画拡大、指導的地位に就く女性の育成などに重点的に取り組んでいくこととしております。

  そこで、お伺いいたします。
 ビジネスプランコンテストについては、10月7日まで募集を受け付けていると聞いておりますが、現時点での応募状況を含めた進捗状況についてお伺いいたします。また、ビジネスプランコンテストは、応募を受け付け、審査を行い、優秀なプランを表彰するだけでは、真の意味での社会的課題の解決や女性の活躍、新たなビジネスモデルの創出にはつながりません。そのビジネスプランを実際の事業に成長させ、実現していくためのきめ細かい支援が何よりも重要となります。そこで、お伺いします。県では、応募のあったビジネスプランの事業化支援について、今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。

質問2、アルコール健康障害対策推進計画についてお伺いいたします。

一般質問2 アルコールといいますと、日本酒、ビール、焼酎にワインなど、様々な種類のお酒があります。こうしたお酒は私たちの生活に豊かさや潤いを与えるものであり、祝いの場や職場の仲間、友人との懇親の場などで、欠かせないものであり、身近な嗜好品として長年親しまれております。一方で、多量の飲酒、未成年者や妊婦の飲酒などの不適切な飲酒は、アルコール依存症やうつ病、肝臓疾患など、心と体に様々な健康障害を引き起こす原因となっております。「未成年者の飲酒は禁止。」「飲みすぎは体に良くない。」「妊婦の飲酒はすべきでない。」といった内容は、一般常識として、ご存知の方も多いと思います。

平成25年に厚生労働省の研究班が行った調査結果によりますと、アルコール依存症の診断基準に現在当てはまる人、又はかつて当てはまっていた人は、全国で約109万人と推計されており、本県の人口で推計しますと約6.6万人となります。アルコール依存症は、飲酒をしていれば、誰でもなる可能性がある疾患であり、お酒の飲み方や量のコントロールができなくなる障害を引き起こす疾患でありますが、医療機関での適切な治療やアルコール依存症者の回復支援に取り組んでいる自助団体などの支援を受ければ回復することが可能であります。

この自助団体としては、断酒会という団体があります。アルコール依存症の再発等の防止のため、依存症の当事者や家族が互いに支えあってお酒を断つための活動などを行っております。私も先日、断酒会の方々のアルコール依存症による酒害体験をお聞きする機会がございました。お話をしていただいた方の穏やかな話しぶりからは想像もできないほどの過酷な内容は、依存症に陥った場合の怖さを改めて認識させられるものでした。

 そこでお伺いいたします。
 県は現在、アルコール健康障害対策として、どのような取り組みを実施しているのかお伺いいたします。

質問3、「日常の道路管理の強化」について伺ってまいります。

一般質問3我が公明党、小島丈幸幹事長の代表質問では、本県の強靭化を加速する社会資本の整備方針について伺いました。私も、巨大な地震や津波、激甚化する風水害や土砂災害から、県民を守り、社会機能を維持するために、河川や海岸堤防の確かな地域づくり」を補強、緊急輸送道路の耐震化などを推進することが不可欠と考えておりますが、「活気ある温進めていくためには、社会インフラの日常の管理を着実に行い「365日の安全・安心」をしっかりと守っていくこともまた、忘れてはなりません。
そこで、私からは、我々、県民が生活の中で毎日、利用している最も身近な社会インフラである「道路」に着目し、「如何にして、日常の管理を強化していくか」についてお伺いしたいと思います。

本県においては、道路照明や地下横断歩道など県独自の構造物を加えて「予防保全型の維持管理」への転換が進められているとお聞きしております。しかし、路面や、歩道のガードレール、側溝などの小規模な工作物、更には街路樹など、道路を構成している施設には予防保全には馴染まないものもあります。従って、従来からの維持管理も依然として重要で、日常のパトロールを通して、倒木や落下物による通行妨害や、路面の穴ぼこなどの損傷をいち早く発見し、直ちに補修を行い、安全性を確保していくことも忘れてはなりません。

残念なことに、この9月議会に「道路の設置又は管理の瑕疵に起因する事故」が6件報告されております。過去を遡ってみますと、平成18年から平成27年までの「10年間に108件」、平均で毎年10件程度の管理瑕疵に起因した事故が発生しています。その原因を見てみますと、路面の損傷、側溝の蓋やグレーチングの破損、街路樹や沿道民地の樹木の倒木や枝折れによるものなどあり、被害の内訳では、パンクや車体の損傷などの物損事故が大半を占めていますが、大きな事故に繋がる危険性も否定することはできません。道路施設の損傷を根絶し、これに起因する事故を完全に防止することは、非常に難しいこととは思いますが、障害や損傷を少しでも早く補修を行い、事故を未然に防ぐ、強まぬ取組を続け、安全・安心な道路交通環境を守っていくことが不可欠であると考えます。

県として、日常の道路の安全確保に「どのように取り組んできたのか。」また、管理瑕疵に起因する事故の発生状況を踏まえ、「どの様な再発防止対策に取り組んでいるのか。」お伺いします。

平成26年6月 定例会議

一般質問1一般県道小牧春日井線のバイパス整備につきまして、お伺い致します。この件につきましては、3年前にも同様の趣旨の質問をさせて頂いておりますが、地元および尾張北部地域の発展にとりまして、重要な課題であることから、改めて質問をさせて頂きます。

小牧春日井線は、当地域の南北の幹線軸である国道41号と国道19号を東西に連絡し、この地域の生活と物流を支える非常に大切な道路であります。また、高速道路のインターチェンジにつながる路線であることから、周辺には、運送会社や物流センターなどの立地も多く、交通量は朝夕問わず、非常に多い道路であります。しかしながら、私の地元の春日井市の北西部、上田楽町地内の小牧市との境界に近い地域において、短区間のうちに、道路の急カーブが連続している箇所があり、大型のトレーラーやバスなどが来ると、すれ違いができず、渋滞が慢性的に発生しております。また、北条(ほくじょう)橋の南西側には、約100世帯の大縄手団地の出入り口もあり、この団地の方々が小牧春日井線に出るのに、朝夕の時間帯は、この渋滞の合間を縫(ぬ)って出入りしなければならないなど、日々大変にご苦労されております。

私は、平成23年9月に、大縄手団地の方々にご協力いただき、平日の2日間にわたって、独自に交通量を調べたところ、朝夕にそれぞれ、東行き、西行きともに、多くの渋滞を確認し、その光景を間近に見て、このクランク部分の解消をより強く感じたものであります。最近も、この区間を何回となく通りましたが、以前と比べ、さらにひどくなっている状態であります。さらに、渋滞個所の東側に位置する春日井各務原(かかみがはら)線と交差する田楽グランド北交差点では、東側は整備済となっているものの、西側は未整備となっていることから、少し道路に角度がついており、運転していても真っ直ぐに交差点を通過できず、対向車のある中で、ハンドルを少し切らなければならず、ひやっとすることがあるとの声も地元から聞いております。

小牧春日井線のこの未整備区間については、昭和47年の都市計画決定において、北条(ほくじょう)橋から田楽グランド北交差点までの区間約300mを直線化する計画であります。そこで、私は平成23年度の県議会においてもこの問題について、一般質問をさせて頂き、当局より「春日井市ともよく調整しながら、バイパス整備をどのように進めるのか、検討してまいりたい」と答弁いただきました。大縄手団地の方々(かたがた)含め地元は、交通量も増加傾向であることから、このバイパス整備を求める声がますます高くなってきております。また、春日井市においても、県当局に対する幹線道路整備(せいび)要望(ようぼう)の中で、最重要項目の一つとして位置づけているとの認識であります。こうした声を踏まえ、県においては、整備に向けて準備・検討が進められていると聞いております。

私としては、この小牧春日井線のクランク部を解消するバイパスを、一日でも早く整備することにより、地域の方々が安全、安心に通行でき、地域の更なる発展に寄与することを強く望んでいるところであります。そこで、お伺い致します。尾張北部地域の東西の幹線軸である一般県道小牧春日井線の、このバイパス整備の見通しについて、県のご所見をお尋ねします。

一般質問2県立学校教職員の防災に関する資質向上についてお伺い致します。

学校の設置者は、児童生徒の安全を確保するため、災害によって生ずる危険を防止することができるよう、管理運営体制の整備充実を図ることとされております。特に本県においては、南海トラフ巨大地震の発生が懸念されており、甚大な被害が予測されております。また、東日本大震災において、想定を上回る津波等の被害により多くの児童・生徒・教員が犠牲になった現状を踏(ふ)まえると、学校における防災教育の一層の充実や防災管理の徹底は喫緊の課題であります。

そしてそのためには、教員に対して、防災、減災に対するしっかりした意識を持たせること、さらに自然災害に対する十分な知識や技術の習得を図ることは、子どもの命を預かる学校及び教育委員会の使命として極めて重要なことであると思います。我(わ)が公明党県議団(けんぎだん)全員が、防災士研修センターの講座を受講(じゅこう)し、防災士の資格を取得しましたが、私は、その研修内容の充実さ・新鮮さには驚(おどろ)かされるものがあり、防災・減災に対する多くの知識・技術(ぎじゅつ)を学(まな)ばせていただくとともに、意識の持ち方が大きく変(か)わりました。この講座は、ぜひ学校の教員の皆さん方には受講していただきたい、このことを強く感じました。特に高校生においては、高齢化が進む社会のなかにあって、激甚災害発生時には、助けられる側ではなく、助ける側の人材として活躍が期待されるところであります。

このような状況を踏まえて、先日、私が話を伺ったところでは、愛知県教育委員会においては、「防災教育指導者研修会」を実施し、東日本大震災の検証を踏まえ、津波・液状化など、地域の特性に応じた防災対策を推進するため、各学校の防災担当教員を対象に県内5地区で、市町村の防災担当者、地域の防災ボランティアとの情報交換も含めた研修会を実施し、「災害発生時における教職員の状況別役割分担の明確化」、「避難所の開設準備や役割分担」等のテーマを設定し、協議を行っているとのことです。また、高校生に対しては、名古屋大学と連携し、地震災害の知識や理解を深め、災害対応能力を身に付け、学校や地域の防災力向上に貢献できる防災リーダーの育成を図るため、「高校生防災セミナー」を夏休みと冬休み合わせて5日間の日程で開催し、県立学校12校から各4名の生徒と引率教員1名が毎年参加しているとのことです。

そこで、教育長にお尋ねします。県立学校における防災教育の一層の充実や防災管理の徹底に向け、今後どのように教職員の資質向上を図っていかれるのか、所見をお尋ねいたします。

一般質問3最後に、児童虐待(ぎゃくたい)防止対策についてお伺いいたします。

5月末に、「神奈川県厚木市において、居所(いどころ)不明とされていた、本来であれば中学1年生になる男の子が、7年ほど前の5歳の時に死亡していた」との報道がありました。

児童福祉法では、気になる家庭についての情報を共有する場として、「要保護(ほご)児童対策地域(ちいき)協議会」が平成16年に法定化(ほうていか)され、平成20年に設置が努力義務化(ぎむか)されています。男の子が死亡したとされる平成18年頃の厚木市における要保護(ほご)児童対策地域(ちいき)協議会の設置状況がどうであったのかは分かりませんが、平成24年9月に豊橋市で発生した4歳の女の子の衰弱死(すいじゃくし)事件でも、死亡した女の子が、住民票の住所地に居住実態(じったい)がなく、居所(いどころ)不明であったにもかかわらず、市の要保護(ほご)児童対策地域(ちいき)協議会で全く情報共有(きょうゆう)されず、適切な支援がなされないまま、残念ながら死亡に至っています。自分で食べたり、周(まわ)りに助けを求めることができない幼い子どもに対するネグレクトは、時として大変重篤(じゅうとく)な結果を引き起こすものであり、今すぐ危険な状況にならなかったとしても、ネグレクトの疑いがある事例に対しては、地域のきめ細(こま)かな見守(みまも)りが重要です。

そのためには、気になる段階で情報を集約し、できるだけ早い段階で虐待(ぎゃくたい)の可能性に気づくことが大切でありますが、要保護(ほご)児童対策地域(ちいき)協議会という情報共有(きょうゆう)の仕組みがあっても、それぞれの関係機関が、必要な時に必要な情報を提供しなければ、また、その情報を集約し、支援に活用できなければ、意味がありません。本県では、すべての市町村で要保護(ほご)児童対策地域(ちいき)協議会が設置されており、児童相談センターにおいては運営支援として、職員の参加や、ケースに対する助言等を行っていると聞いています。

しかし、実際に、市町村がそれぞれの要保護(ほご)児童対策地域(ちいき)協議会を機能的に運営して、必要な情報を的確に収集し、その情報を元に適切な支援を行っていくためには、県としてさらに一歩踏み込んだ支援が必要なのではないでしょうか。

虐待死を防ぐためには、気になる家庭の情報を集約し、活用することが最も重要であり、そのためには、市町村要保護(ほご)児童対策地域(ちいき)協議会の機能的な運営が必要だと思います。県当局の考えをお聞かせください。

平成26年2月 定例県議会

1 県営名古屋空港について
(質問要旨)
1)県営名古屋空港についてお伺いいたします。

県営名古屋空港は、平成17年に、我が国初の本格的な小型航空機の拠点となる都市型総合空港として開港いたしました。
これまで、コミューター航空やビジネス機などの拠点化を図るため、フィンガーコンコース、ターミナル機能の1階への集約、日本で初めてのビジネス機専用ターミナルなど、整備が進められてまいりました。
開港後、丸9年が経過しましたが、その間、空港の運営は安全かつ安定して行われ、コミューター航空の利用者からは、駐車場が無料、そして搭乗までの移動距離が短く、使い勝手の良い空港との評価もお聞きしております。
現在、就航しているフジドリームエアラインズは、全国6都市に一日14往復を運航し、1月末には利用者が50万人を超え、さらに、この3月30日からは、新たに山形便を一日1往復就航します。
また、ビジネス機についても、利用者のプライバシー保護を始め、CIQを含めた航空機への搭乗時間がわずか15分程度という我が国トップレベルの機能と利便性を備えたビジネスターミナルの効果等により、年間70機程度の利用を確保・維持するなど、その役割を着実に果たしてきております。
こでお伺いいたします。県営名古屋空港の円滑な空港運営を確保しつつ、民間航空機の生産・整備拠点の誘致を実現するため、どういったスケジュールで立体駐車場の建設工事を行い、空港利用者へ影響を極力抑えた駐車場運営を展開していくのか、また立体駐車場完成後の運営について、県当局の考えをお伺い致します。

2 県立高校の今後のあり方について
(質問要旨)
2)県立高校の今後のあり方についてお伺い致します。

今や、国民的な教育機関となっている高等学校は、生徒にとって年齢的なこともあって人格形成や社会との関わりを強く意識する時期に当たっており、今後の社会を支える人材の育成という観点からその在り方が大変重要なものであります。
本県においては、社会の変化や生徒の多様化に適切に対応していくこと、少子化の進行により、生徒数の減少が見込まれていたことから、平成13年度から10年間にわたって「県立高等学校再編整備計画」に基づき、高等学校の再編統合を進めるとともに、総合学科の設置、普通科コース制の導入、専門学科の改編など、魅力と活力ある学校づくりを進め、学校の特色化についても一定の成果を上げてこられました。
しかし、その後も社会経済状況は変化し続けており、常に時代のニーズや生徒の一層の多様化を踏まえた特色化が必要であると考えております。
来年度、今後の高校教育の在り方についての検討会議を立ち上げ、基本計画を策定されるということでありますが、時代のニーズに対応した特色ある県立高等学校づくりをどのように考え、どのような方向を目指そうとしておられるか、教育長のご所見をお伺いします。
また、特に、教育改革の中でキャリア教育をどのうように推進していくおつもりかお伺いします。

3 環境調査センター・衛星研究所の建替えについて
(質問要旨)
3)この調査センターと衛生研究所の沿革を振り返ってみますと、まず、環境センターは、昭和45年に名古屋市千種区で公害調査センターとして発足(ほっそく)した後、昭和47年に現在の名古屋市北区に移転しました。また、衛生研究所は、昭和23年、県庁内で発足(ほっそく)、名古屋市中区、千種区を経(へ)て、昭和47年に現在地に移転しております。
環境センターと衛生研究所は、昭和47年3月に竣工した同じ建物の中に設置され、約42年が経過致しました。
県においては来年度から、環境調査センター及び衛生研究所について、PFI手法を用いた施設整備を行うための準備を進めることとされているところでありますが、私は、改めて、今この時期に、2年前に最先端の環境配慮型施設の建設を指示された、知事の先見性を評価させて頂くとともに、ぜひともこれを実現して頂きたいと、強い期待をしております。
そこで、お伺いいたします。まず、新施設について、PFI手法を用いた施設整備の具体的なスケジュールはどうなっているのでしょうか。
また、県は、新施設を、「環境首都あいちにふさわしい全国モデルとなる新エネ・省エネ施設とする」との方向性を示されておりますが、現在、どのような新エネ・省エネ施設を検討されているのかお伺いいたします。

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